七年目の浮気
七年目の浮気 | |
---|---|
The Seven Year Itch | |
監督 | ビリー・ワイルダー |
脚本 | ビリー・ワイルダー ジョージ・アクセルロッド |
原作 | ジョージ・アクセルロッド |
製作 | ビリー・ワイルダー チャールズ・K・フェルドマン |
出演者 | マリリン・モンロー トム・イーウェル |
音楽 | アルフレッド・ニューマン |
撮影 | ミルトン・クラスナー |
編集 | ヒュー・S・ファウラー |
製作会社 | チャールズ・K・フェルドマン・グループ 20世紀フォックス |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 | 1955年6月3日 1955年11月1日 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $3,200,000[1] |
興行収入 | $12,000,000[1] |
『七年目の浮気』(しちねんめのうわき、原題:The Seven Year Itch)は、1955年のアメリカ合衆国のコメディ映画。ビリー・ワイルダー監督。20世紀フォックス製作。
ジョージ・アクセルロッドの同名ブロードウェイ舞台劇をアクセルロッド自らの脚色(ビリー・ワイルダーとの共同脚本)で映画化。マリリン・モンローが地下鉄の通気口に立ち、白いスカートがふわりと浮き上がるシーンは映画史上に残る有名なシーン。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番も有名。
主演のトム・イーウェルは1956年、ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した。
本作は作品中に著作権表記があるものの公開時期が古く、リニュー(著作権更新手続き)が行われなかったことから公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄とみなされ、米国においてはパブリックドメインとなった(このため、コモンズに高解像度のスクリーンショット、ウィキクオートに台詞の抜粋が収録されている)。
目次
1 ストーリー
2 キャスト
3 制作
4 主な受賞歴
5 備考
6 脚注
7 関連項目
8 外部リンク
ストーリー
マンハッタン島に住むマンハッタン族は暑くなると女や子どもたちが涼しいところに出かけ、男は島に残るという。
500年後の話。ニューヨークの三文小説の出版社に勤める中年のリチャードは、妻と息子がバカンスに出かけ、一人でアパートに戻る。偶然にも上階に部屋主カウフマンの避暑旅行の留守期間だけ住みこんだ若いブロンド美女が間借りしているのを知る。上から植木鉢が落ちてきて相手が美女だと知り、家に招待する。暑すぎて冷蔵庫に下着を冷やしているという。ムード音楽はストラヴィンスキーは前衛的すぎ、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に決まり!テレビCM「ピカピカ歯磨きアワー」に出演しているという女性に浮気心がうずく。もともと色んな女性との恋愛に対する想像力がたくましすぎる[2]リチャードは、ひたすら彼女との関係を妄想する。砂糖の入っていないマティーニはダメというが、誕生日に一人で買った高級シャンペンとポテトチップスを持ってきて、シャンペンに浸すとおいしいという。USカメラに載ったという写真も家にあった。クラシックは分からないけど、「チョプスティック」(Chopsticks)を連弾して、キスをしようとして正気に戻る。
翌朝、出社したシャーマンに社長は「若い男の欲望と破滅の物語」『ドリアン・グレイの肖像』を25セントで出そうという。ブルベイカー博士の原稿を読むと、結婚7年目の男の浮気心を「7年越しのうずき(itch)」と説明している。自分も結婚7年目なのでいたく良心を責められるシャーマンはブルベイカー博士の所に行き、本の打合せをするが妄想が加速していることが指の痙攣から知れる。たまりかねて妻に電話をかけると、作家のマッケンジーとドライヴに出かけたという。アパートに戻ったシャーマンは、階上の娘をさそって冷房完備の映画館に『大アマゾンの半魚人』(1954年)を観に行く。娘の感想は「あの怪物がかわいそう」「愛に飢えているのよ」という。娘は地下鉄の風でスカートがまくれるが、Delicious!と叫んで涼しさを楽しむ。明日はテレビがあるというが、「"彼は気づかない キスしたってオーケー" よせよ」というと証明するといってキス。さらにカウフマンの部屋はクーラーがないので暑くて3日も眠れない、という。管理人が絨毯を取替えに来たので、誤解されると思い、一緒に追い返す。ところが、2階との使っていない階段から娘が降りてくる。娘を寝室に寝かせ、シャーマンは居間で一夜を明かす。
翌朝、再びノイローゼ的妄想に教われたシャーマンに、娘は昨夜のお礼のキスをする。そこへマッケンジーが突然訪ねてくる[3]。妄想が肥大になって殴ってしまい、管理人に運ばせ、自分は息子のためにパドルを持って避暑地へ急ぐ。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
---|---|---|---|---|
NETテレビ版 | フジテレビ版 | LD版 | ||
ブロンド美女 | マリリン・モンロー | 向井真理子 | ||
リチャード・シャーマン | トム・イーウェル | 島宇志夫 | 羽佐間道夫 | 愛川欽也 |
ヘレン・シャーマン | イヴリン・キース | 藤波京子 | 来宮良子 | 小沢寿美恵 |
トム・マッケンジー | ソニー・タフツ | 小林修 | 中田浩二 | 阪脩 |
ブルベイカー博士 | オスカー・ホモルカ | 寄山弘 | 辻村真人 | |
ミス・モリス | マルグリット・チャップマン | 小原乃梨子 | 杉田郁子 | 高畑淳子 |
ナレーション | トム・イーウェル | 三遊亭圓楽 | 羽佐間道夫 | 中村正 |
- NETテレビ版吹き替え - 初回放送1969年5月18日『日曜洋画劇場』
- ※2015年9月2日発売の『吹替の名盤』シリーズ <テレビ吹替音声収録>HDリマスター版DVDに収録(約96分)
- フジテレビ版吹き替え - 初回放送1973年7月13日『ゴールデン洋画劇場』
- LD版 - 現在ソフト未収録
- ※LD版は2017年1月19日にWOWOWで放送された[4]。
制作
監督は初対面のモンローに「ブラジャーをつけてないの」と言われたという。不倫を扱った物語ということでアメリカ映画協会などからの検閲が厳しく、不可能だと思われていた。映画では多くのシーンが削除されてしまった。「トム・イーウェルの『メイドが、ベッドのなかに一本のヘアピンを見つける』」というアイデアも削らざるを得なかった。また、撮影当時、モンローの精神状態が不安定で遅刻も多く、せりふを覚えていなかったり忘れることがしばしばあったため、「30テイクめにようやくせりふを言うんだが、それは誰にもまねのできないくらいすばらしかった」と述懐している。
映画のシーンと一般的に出回っているスカートのシーンは異なり、スティール写真として別に撮られたものである。モンローは撮影前にパンティを2枚重ねた。しかし、煌煌と照らすアーク灯のライトを浴びると、まだ透けることがあったが、映画には使われず、フィルムも行方不明だという。ロケで撮影したものは使い物にならず、スタジオで撮り直したものだという[5]。
例のスカートがまくれ上がるシーンの大観衆の前での撮影風景を見て、夫のジョー・ディマジオが激怒。二週間後に離婚が発表された。
主な受賞歴
- 受賞
- ゴールデングローブ賞
主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門):トム・イーウェル
備考
- 映画で使用されたマリリン・モンローの白いドレスは、2011年にカリフォルニア州でオークションに出品され、460万$(約3億7,000万円)で落札されている[6]
脚注
- ^ ab“The Seven Year Itch(1955) - Box office / business” (英語). IMDb. 2012年5月31日閲覧。
^ 映画『地上より永遠に』などの場面を勝手に妄想。
^ マッケンジーを誤解して、キッチンの女のことで来たか、というとキッチンに女がいるのかと聞かれ「気になるか マリリン・モンローかもな」という。楽屋落ちだが、1953年に『ナイアガラ」、1954年に『帰らざる河』と既に有名になっていた。
^ “七年目の浮気”. 2016年12月11日閲覧。
^ シャーロット・チャンドラー『ビリー・ワイルダー』(アルファベータ 2006年 pp.165-169)。
^ “モンローのドレス3.7億円で落札 舞い上がるスカート”. 朝日新聞. (2011年6月19日). http://www.asahi.com/international/update/0619/TKY201106190248.html 2012年5月31日閲覧。
関連項目
- ニューヨーク23番通りで何が起こったか
外部リンク
七年目の浮気 - allcinema
七年目の浮気 - KINENOTE
The Seven Year Itch - オールムービー(英語)
The Seven Year Itch - インターネット・ムービー・データベース(英語)
The Seven Year Itch - TCM Movie Database(英語)
The Seven Year Itch - Rotten Tomatoes(英語)
|