破骨細胞











破骨細胞

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牛の胎児の下顎の小柱骨組織上の骨芽細胞(Osteoblasts)と破骨細胞(osteoclasts)

英語
Osteoclast

破骨細胞(はこつさいぼう、osteoclasts)とは、骨再構築(骨リモデリング)過程において、骨を破壊(骨吸収)する役割を担っている細胞で、5個から20個(あるいはそれ以上)の核をもつ多核巨細胞である。ただし、単核の破骨細胞も確認されている。




目次






  • 1 特徴


    • 1.1 分化




  • 2 機能


  • 3 関連疾患


  • 4 参考文献


  • 5 出典


  • 6 脚注


  • 7 関連項目


  • 8 外部リンク





特徴




典型的な区別特徴を表示している破骨細胞


破骨細胞は大型で樹枝状の運動性細胞で骨吸収を専門に行う。骨髄由来の単球マクロファージ系の前駆細胞が分化・融合して破骨細胞になることが知られており[1]、数個から数十個の核を有する多核巨細胞で、細胞質は好酸性を示し酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を有する。



分化



  1. 骨芽細胞が分泌するマクロファージコロニー刺激因子 M-CSF (macrophage colony-stimulating factor) の作用により、骨髄系前駆細胞は未熟貪食細胞へと分化。


  2. 骨芽細胞との相互作用の中で未熟貪食細胞が表出する。特に重要な分子として、骨芽細胞が表出するRANK-L(receptor activator of NF-κB ligand) と未熟貪食細胞が表出するRANKが関係している[2]

  3. 成熟した破骨細胞は、骨基質に結合し基質を吸収する。



機能


破骨細胞は骨基質を溶かして吸収する。具体的には周りにコラゲナーゼや水素イオンその他のサイトカインを放出し、コラーゲンの分解やカルシウム塩結晶の融解を引き起こす[3]。また、酵素によって浸食された部位ではハウシップ窩(Howship's lacuna)というくぼみができる。活発な破骨細胞の骨基質に接する表面、つまりハウシップ窩側は不規則なひだ状である。この突起は波状縁(ruffled border)と呼ばれ、この周囲はアクチンフィラメントが多く明帯とよばれる。


破骨細胞は、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)やカルシトニン(calcitonin:CT)によって、その働きがコントロールされている。カルシトニンは、血中のカルシウム濃度を下げる働きをし、また破骨細胞の働きを抑制する。副甲状腺ホルモンは、骨芽細胞によるカルシウムイオンの細胞外液への輸送と破骨細胞による骨吸収を促進して、反対にカルシウムイオンの量を増やす。


破骨細胞や骨芽細胞とこれらをコントロールするホルモン等のバランスにより血中カルシウムイオン濃度や骨が保持されている。



関連疾患




  • 骨ページェット病(Paget's disease)では破骨細胞による骨融解が異常に亢進する。これを直そうと骨芽細胞が未熟な骨(線維骨)を作るので骨がもろくなる。


  • 大理石骨病(osteopetrosis)では、破骨細胞は波状縁を欠き、骨吸収が出来ないので骨が異常に成長し硬くなる。結果的に、血液細胞の形成(造血)が減少し、貧血をおこしやすく感染症にかかりやすくなる。


  • 副甲状腺機能亢進症(hyperparathyroidism)では副甲状腺ホルモンが増えすぎることで破骨細胞が増え、活動が亢進することにより骨がもろくなる。


  • 骨粗鬆症では、骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨融解のバランスが崩れ、骨量の低下が出現する。破骨細胞を抑制する薬剤にはビスフォスフォネートや抗RANKL抗体などがある。


  • 関節リウマチでは、活性化したT細胞が滑膜に浸潤し 複数のサイトカインが関係し骨の破壊が進行する[4]


  • 歯周病では、炎症の増大と慢性化により歯槽骨が破壊される[3]



参考文献



  • Luiz Carlos Junqueira. 坂井 建雄訳: ジュンケイラ組織学, 丸善 ISBN 978-4-621-07821-1

  • Barbara Young et al: Wheater's Functional Histology, Elsevier ISBN 9780443068508



出典



  • 酒井昭典、骨芽細胞 臨床整形外科 2001 36:8, 956-957

  • 久木田明子ほか、破骨細胞の分化と機能を制御する転写因子の役割 化学と生物 Vol.50 (2012) No.7 p.488-497


  • 鳥居薬品 マンガライフサイエンス 第40回 破骨細胞物語 (PDF) 監修:多田富雄



脚注





  1. ^ 宇田川信之ほか、破骨細胞の分化と機能を調節する骨芽細胞の役割とその分子機構 昭和歯学会雑誌 Vol.21 (2001) No.1 p.64-69


  2. ^ 田中栄、RANKL-RANK 臨床整形外科 2004 39:1, 68-70

  3. ^ ab臼井通彦ほか、歯周病における骨破壊メカニズム~破骨細胞を形成・活性化する因子~ 日本歯周病学会会誌 Vol.57 (2015) No.3 p.120-125


  4. ^ 松下功、関節リウマチにおける骨破壊のメカニズム 臨床リウマチ Vol.26 (2014) No.3 臨床リウマチ p.235-237




関連項目




  • 細胞/骨芽細胞

  • リモデリング


  • リウマチ学


  • 組織学/解剖学(口腔解剖学)/形成外科学/歯科矯正学/細胞生物学

  • 骨粗鬆症



外部リンク




  • 世界初 破骨細胞が骨を壊す様子のライブイメージングに成功 2013年1月17日科学技術振興機構(JST)


  • メダカにおける微少重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析 Medaka Osteoclast実験 2013年1月 宇宙航空研究開発機構(JAXA)





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