オープン戦
オープン戦(オープンせん)とは、野球などで公式の試合の期間の前後もしくは合間などに行われる非公式の試合のこと。
目次
1 概要
2 日本プロ野球のオープン戦
2.1 過去のプロ野球トーナメント大会の事例
2.2 2軍のオープン戦
2.3 韓国の球団との練習試合
3 MLBのオープン戦
4 プロボクシングのオープン戦
5 出典
概要
オープン戦を開催する目的は、親睦や交流、調整、場合によっては興行など、様々である。"オープン戦"は和製英語で、英語では"exhibition game"または"pre-season game"と言う。他競技で用いられる「プレシーズンマッチ」とほぼ同義。もっとも、メジャーリーグベースボールが開幕前に行うオープン戦は「スプリングトレーニング」ということが圧倒的に多い。
なお、ここでいうオープン戦はオープン競技とは異なる。オープン競技とは門戸が開かれた参加資格に制限を設けない競技大会、特にプロかアマチュアかを問わずを勝ち上がっていけば本戦に出場できる競技大会をいう[1]。
ゴルフやテニスなどのトーナメント大会などの名称につく「オープン」は、オープン・トーナメント、つまりプロアマ問わず基準に達していれば出場出来る公式大会であることを示し、ここでいうオープン戦とは意味が異なる。- かつて全日本プロレスが開催した「オープン選手権」「世界オープンタッグ選手権」もこちらの意味であり、日頃交流のない他団体にも門戸を開放したものである。
- 一般に競馬では獲得賞金に応じて出場できるレースクラスが定められているが、オープンクラスは基本的には未出走・未勝利の競走馬以外なら賞金の獲得額に関係なく出走できるという意味がある。しかし、中央競馬の場合は実際のところは賞金獲得額1601万円以上クラス(上半期4歳以上・下半期3歳以上で収得賞金1601万円以上)の競走馬のことを指している。(日本の競馬の競走体系の項参照)
日本プロ野球のオープン戦
日本のプロ野球におけるオープン戦は、公式リーグ戦の開幕前の調整試合として、セ・パ両リーグ間の交流試合が積極的に実施されている。通常オープン戦は平日・土曜日・休日を問わずデーゲームで行われているが、ドーム球場が全国に誕生した1990年代頃からは、ドーム球場での一部の試合はナイトゲームで行われるケースも少なくない。序盤はキャンプが行われる野球場で開催され、その後3月に入って本拠地球場、あるいは一軍公式戦が余り行われない地方都市の野球場で行う。
読売ジャイアンツの場合は2月下旬に宮崎市で最初の主催試合を行った後、九州から中国・四国、近畿・東海、南関東(横浜・神宮・千葉他)、北関東(水戸・ひたちなか・宇都宮他)と北上する日程が長年続いたが、2000年代に入ってからは九州遠征後すぐ北海道(札幌ドーム)へ北上し、さらに福岡ドームから中国・四国、近畿・東海、南関東という日程になったりしていたが、それでも東京ドームでの試合は3月中盤か後半だった。2009年以後は3月上旬に数試合を東京ドームで行うオープン戦が増えている。また那覇でキャンプを開催している2011年以降は宮崎キャンプの最終日にオープン戦を1試合行った後、那覇で3試合程度オープン戦を行い、本州で行っている。
阪神タイガースの場合は、選抜高校野球大会が開催される3月下旬は甲子園球場でオープン戦が出来ないため、甲子園球場での主催試合は3月上旬に行われる。
中日ドラゴンズの場合は、3月上旬に名古屋ウィメンズマラソンが開催されるため、マラソンEXPOが開催される期間(金〜日曜日の3日間)の前後3日間程度はナゴヤドームでオープン戦が出来ない。この期間中は小牧やナゴヤ球場等での主催試合あるいはビジターの試合が組まれる傾向にある。
東北楽天ゴールデンイーグルスの場合は、東北地方にプロ野球開催規模のドームがないことや積雪や気候の問題上殆どオープン戦が出来ないため、2006年から温暖な西日本の数箇所(長崎、倉敷、明石、浜松、静岡他)で主催試合をしている。ただし、2009年だけワールド・ベースボール・クラシックの開催により開幕が4月だったことから例外として2試合だけ宮城球場で開催された。
公式戦で行われる延長戦は殆どの試合では行わず、9回での打ち切りが多い。また、通常パシフィック・リーグ公式戦あるいは主催交流戦のみで実施される指名打者制は自由に採用でき、セントラル・リーグのチームでも序盤は指名打者制を採用していることがほとんどである。ただ2005年はこの年から始まった交流戦対策で、試合によっては一部のパシフィック・リーグのチームが採用しないこともあった。支配下登録されていない育成選手を出場させることも可能である。現在は公式戦開幕前に行われるのがほとんどだが、かつてはシーズン後の秋にもオープン戦が行われていた[2]。オープン戦期間中に、前年限りで引退した選手の引退試合が行われることもよくある。
“オープン戦で好調だったチームは公式戦でコケる”というジンクスがファン達には語られており、第一次、第二次暗黒期の阪神タイガースが手の内を隠したストレート中心の配球を狙い打ち、新外国人選手もデータ取りで打たせたことで期待を抱かせる状態が頻発し「今年の虎はやってくれる」と連日マスコミで記事にされるもシーズンが開始すると下位に低迷しジンクスと言われ出した。森たけし(読売テレビアナウンサー)が『ズームイン!!朝』で「今年の(阪神の)ベストゲームはオープン戦」と皮肉を込めて語ったことがある。
キャンプ中にキャンプ地が近いチーム同士で練習試合が組まれることもある。NPBの管理下で有料開催される準公式試合のオープン戦と違い、練習試合はチーム間の合意のみで開催でき、原則無料で行われる。また、申し合わせにより「後攻チームがリードしていても9回裏の攻撃まで行う」などの特別ルールを設けることも出来る[3]。後述の通り、近年は同地でキャンプを行う韓国チームなどとの練習試合も組まれている。また、2011年に東日本大震災の影響で開幕が遅れることとなった際には、当該日に元々開催予定だったレギュラーシーズンの試合を行うとチーム間で、「実戦形式の合同練習」などと称した練習試合が行われた。
メジャーリーグベースボールの日本開幕戦が開催される年にはMLBとNPBの球団間でのオープン戦(これらはアメリカ式に「プレシーズンゲーム」と呼ぶ場合が多い)も実施される。
なおオープン戦期間中にはトーナメント大会が実施された例もある。
過去のプロ野球トーナメント大会の事例
- 1988年 「サッポロビールプロ野球トーナメント」(東京ドーム完成記念として12チーム総参加)
- 1993年 「JCBセ・リーグビッグトーナメント」(東京ドーム開場5周年記念としてセ・リーグ6チーム参加)
- 同上 「パ・リーグトーナメント大会」(福岡ドーム完成記念としてパ・リーグ6チーム参加)
- 1994年 「JCBセ・リーグビッグトーナメント」(読売ジャイアンツ球団設立60周年記念としてセ・リーグ6チームが東京ドームに集結して開催)
- 同上 「パ・リーグ東西対抗戦」(福岡ドームで東日本の3チーム=西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズ、日本ハムファイターズと西日本の3チーム=近鉄バファローズ、オリックス・ブルーウェーブ、福岡ダイエーホークスとに分かれて、それぞれ3チームずつと対戦する形式を行った)
- 1995年 「オートバックス・セ・リーグビッグトーナメント」(阪神タイガース球団設立60周年と倉敷マスカットスタジアムの竣工記念としてセ・リーグ6チームが倉敷に集結して開催)
- 1996年 「JCBセ・リーグビッグトーナメント」(中日ドラゴンズの球団設立60周年を記念してナゴヤ球場にセ・リーグ6チームが集結して開催)
- 1997年 「コナミ・プロ野球トーナメント」(大阪ドーム竣工記念大会として12チーム総参加)
- 同上 「サークルK・プロ野球トーナメント」(ナゴヤドーム竣工記念大会として12チーム総参加)
- 上述の各大会はトーナメント方式であるため、敗戦したチームは会場の周辺自治体にある他の球場で練習試合を行った球団もある。また1988年の東京ドームのトーナメント大会の時には、ドーム球場の雰囲気に慣れてもらうという観点で東京ドームで練習試合をした球団もあった。
- 1999年、2000年 「プロ野球サントリーカップ」(日本版交流試合の開催実現に向けたメリットを探るという名目で、各リーグの6チームずつが互いに別リーグの6チームずつと対戦する形式で行われた)
- 2011年 「プロ野球12球団チャリティーマッチ -東日本大震災復興支援試合-」(非トーナメント)
- また戦前や戦後初期には「読売杯」「大毎杯」などといったトーナメント大会や、2リーグ以後は毎年必ず行う定期戦も組まれたこともある。最近では「ABCカップ争奪 阪神vs近鉄定期戦」、あるいは高知県で行われる阪神対オリックスの「KTVカップ」がある。
- なお高知県では西武が1軍の春季キャンプを撤退した2004年ごろから2011年ごろまで、この阪神対オリックスの定期戦のみだったが、2012年[4]から、有料のオープン戦とはせず、高知県と高知市、安芸市などが共同主催して、かつて同県を1軍キャンプ地とした西武、オリックス、阪神を中心に、韓国野球リーグのチームなども交えて、無料練習試合をシリーズ化した「高知プロ野球プレシーズンマッチ」を開催している。また、沖縄県、宮崎県でも下記のとおり、練習試合をシリーズ化した大会を開催県・市町村とその観光協会、教育委員会、体育協会などで構成する委員会がキャンプを行う球団と共同主催している。
沖縄県 アジア・スプリング・ベースボール
宮崎県 球春みやざきベースボールゲームズ
- なお高知県では西武が1軍の春季キャンプを撤退した2004年ごろから2011年ごろまで、この阪神対オリックスの定期戦のみだったが、2012年[4]から、有料のオープン戦とはせず、高知県と高知市、安芸市などが共同主催して、かつて同県を1軍キャンプ地とした西武、オリックス、阪神を中心に、韓国野球リーグのチームなども交えて、無料練習試合をシリーズ化した「高知プロ野球プレシーズンマッチ」を開催している。また、沖縄県、宮崎県でも下記のとおり、練習試合をシリーズ化した大会を開催県・市町村とその観光協会、教育委員会、体育協会などで構成する委員会がキャンプを行う球団と共同主催している。
2軍のオープン戦
また同じく日本のプロ野球の2軍チームでは、教育リーグ(秋季に行われる黒潮(よさこい)リーグ、コスモスリーグ、ハイサイリーグ、みやざきフェニックス・リーグを含む)という大会名でプロチーム同士の試合だけでなく、社会人チームとの対戦も近年積極的に実施されるようになった。また、イースタン・リーグで東北楽天ゴールデンイーグルスを除く球団が対戦予定のないシーズン中にイースタン・リーグ チャレンジ・マッチと題して混成チーム(フューチャーズ)と対戦する。
韓国の球団との練習試合
近年は韓国野球委員会(KBO)の球団も日本国内で春季キャンプを行なうようになった。そこで主に2月中に日本の球団との練習試合が組まれることが多くなったが、2011年からNPBはこれらに対し「アジア・スプリング・ベースボール」の愛称を命名した。「練習試合」ということでほとんどの試合が無料で観戦できる。
MLBのオープン戦
メジャーリーグベースボールの場合は、スプリングトレーニングにおいて、主にフロリダ州でキャンプを張るチームによる「グレープフルーツ・リーグ」とアリゾナ州でキャンプを張るチームでの「カクタス・リーグ」とに分かれて、3月にメジャーリーグチーム同士、あるいは対マイナーリーグのチーム、大学チームという対戦形態がとられることも多い。
日本と違い、ナショナル・リーグの主催試合では指名打者制が採用されないことが多く、その場合はアメリカン・リーグのチームの投手も打席に立つ。また、同じチームであっても2つに分けて、異なるチームと試合をする場合もある。
プロボクシングのオープン戦
プロボクシングでは、公式戦のうちタイトルマッチ及びトーナメント戦のいずれにも関係しないワンマッチをオープン戦と呼ぶ。主なものとして日本タイトル挑戦権獲得トーナメントにおいては各試合の前座としてB級オープン戦が行われており、5回戦(通常B級は6回戦)で組まれている。
出典
^ “全米オープン、地区予選日本会場で垣間見えた懸念”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2016年6月18日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO03632160V10C16A6000000/ 2018年7月14日閲覧。
^ “【11月19日】1964年(昭39) 長嶋が一番燃えた?才媛のハートを射止めた特大本塁打”. スポーツニッポン (2007年11月19日). 2013年5月8日閲覧。[リンク切れ]
^ プロ野球の「練習試合」と「オープン戦」はどこが違う? - 2014年2月12日 Full-Count NPBコラム
^ 2012プロ野球プレシーズンマッチ情報(高知市公式サイト)