グッドデザイン賞




グッドデザイン賞(グッドデザインしょう)は、公益財団法人日本デザイン振興会の主催で、毎年デザインが優れた物事に贈られる賞であり、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組みである。


工業製品からビジネスモデルやイベント活動など幅広い領域を対象とし、これまでの総受賞対象数は5万件以上にのぼる。2017年(平成27年)の応募総数は4,495点であり、毎年の授賞点数はおよそ700点から1400点になる。デザイン盗用問題を背景に通商産業省(現・経済産業省)が1957年(昭和32年)に創設したグッドデザイン商品選定制度を前身とする。この賞の受賞率は30%を越えており、第三者からの推奨ではなく当事者による出費を伴う応募製品の中から選定される賞である。




目次






  • 1 賞の内容


  • 2 歴史


  • 3 グッドデザイン大賞


  • 4 Gマーク


  • 5 審査委員長


  • 6 脚注


    • 6.1 出典




  • 7 関連項目


  • 8 外部リンク





賞の内容




大賞の受賞記念プレート(岩見沢複合駅舎)


この賞は、生活や産業ひいては社会全体の発展を目的としているため、新しさや高度さ、価値観の創造や社会貢献などで評価を得る必要がある。地球環境などに特別に配慮したものには、サステナブルデザイン賞などの特別賞が用意されている。毎年、投票によって最も優れたものを決定し、投票数の最も多かった対象にグッドデザイン大賞が贈られる。


元々は審査員のみによる投票で選ばれていたが、2011年度より一般の投票も受け付けるようになった。グッドデザイン大賞は、2007年度より『内閣総理大臣賞』と位置付けられ、政府から授与される形式をとっているため、得票数が多くても日本国政府の承認が無ければ認められず、政府が授与を拒否すれば、2013年度のように該当無しとなる場合もある[1]


1次審査に応募するためには1万円が必要であり、それを通過すれば5万5千円の審査料も必要となる。2次審査を通過し、晴れて受賞となれば展覧会への出展で11万5千円、年鑑への掲載料が3万円と定められている(いずれも消費税別、2014年費用)[2]


審査員はデザイナーや建築家などが務め、審査の中心となる2次審査は東京国際展示場で行う。また、審査終了後には会場をグッドデザイン・プレゼンテーション展示会として一般公開する。2006年には3日半で学生や家族連れを含め約4万1,000人が来場した[3]


受賞率は約30%ほどであり、2005年の公式記録では3,010件の審査対象に対して、受賞数が1,158件となっている。特徴としては、特別賞や金賞が審査によって選ばれるのに対し、「大賞」は投票によって選ばれる。グッドデザイン大賞は、2005年度以降2010年度まではベスト15の中から選ばれ、大賞に漏れた場合は金賞となっていた。


社会全体の発展に対する活動の一環として、2007年度より受賞情報に対しクリエイティブ・コモンズを導入している。


2012年(平成24年)より、グッドデザイン賞の関連の賞として「明日を切り拓く力を持ったデザイン」および「未来を示唆するデザイン」として高く評価された物および人物に対して、グッドデザイン特別賞の位置付けである「グッドデザイン・ベスト100」が新設された[4]



歴史


1957年(昭和32年)に通商産業省が「グッドデザイン商品選定制度」(通称Gマーク制度)を創設した。当時、日本企業による外国商品のデザイン盗用が外交問題となっていたため、デザインの創造を奨励することで、盗用の防止を図ったのである。当初は、審査員が自らデザインの優れた商品を探し集めていたが、1963年には公募形式になり、受賞点数が初めて百点を越えた。また、当初は一部の工業製品のみが対象だったが、1984年にはすべての工業製品が対象になり、受賞点数が初めて千点を越えた。その後も次第に枠を広げ、建築や公共分野など幅広い領域を取り扱うようになっていった。


1998年(平成10年)に民営化され、それまでこの制度の業務を委託されていた財団法人日本産業デザイン振興会(現・公益財団法人日本デザイン振興会)が主催者となった。同時に事業名が「グッドデザイン賞」に変更された[5]



グッドデザイン大賞





























































































































































































































































年度 受賞対象 企業 デザイナー

1980年(昭和55年)[6]
レコードプレーヤー SL-10
松下電器産業
(現・パナソニック)
松下電器産業
(現・パナソニック)

1981年[7]
カメラ XA2
オリンパス光学工業(現・オリンパス)
オリンパス光学工業
エレクトロニックフラッシュ A11

1982年[8]
ビデオテープレコーダ HR-C3 日本ビクター 日本ビクター
ビデオカメラ GZ-S3
ビデオモニター TM-P3

1983年[9]
カメラ T50
キヤノン キヤノン

1984年[10]
小型乗用車 シビック 3ドアハッチバック 本田技研工業 本田技術研究所

1985年[11]
ビデオモニター αTUBE TH28-DM03
松下電器産業
(現・パナソニック)
松下電器産業
(現・パナソニック)

1986年[12]
平机 Trygon TJ-1-128他 稲葉製作所 稲葉製作所
移動式キャビネット Trygon TJ-C2

1987年[13]

オーバーヘッドプロジェクター OHP313R
リコー リコー

1988年[14]
小型乗用車 シルビア Q's 日産自動車 日産自動車

1989年[15]
ビデオ付テレビカメラ HANDYCAM CCD-TR55 ソニー ソニー

1990年[16]
パーソナルコンピュータ NeXT MODシステム
NeXT Computer
frogdesign Hartmut Esslinger

1991年[17]
モジュラー型ステレオ Beosystem 2500 Bang & Olufsen Bang & Olufsen Lab
リモートコントローラー Beolink 5000

1992年[18]
眼鏡 エア・チタニウム Lindberg DISSING+WEITLING architectfirm

1993年[19]
パーソナルコンピュータ ThinkPad 710T 日本アイ・ビー・エム 日本アイ・ビー・エム
パーソナルコンピュータ PS/55 T22SX
パーソナルコンピュータ ThinkPad 220

1994年[20]
普通乗用車 Volvo850 Estate Series
Volvo Car Lars Erik Lundin

1995年[21]

スーパーコンピュータ SX-4モデル32
日本電気 NECデザイン

1996年[22]
工業化住宅 GENIUS 蔵のある家 ミサワホーム ミサワホーム

1997年[23]
金沢市民芸術村
金沢市
水野一郎
金沢計画研究所
水野一郎
金沢計画研究所
松本・斎藤建設工事JV
本田工務店
稲元工務店

1998年[24]
自転車 トランジット T20SCX ブリヂストンサイクル ブリヂストンサイクル

1999年[25]
エンタテインメントロボット AIBO ERS-110
ソニー
空山基
ソニーデジタルデザイン

2000年[26]
素材技術から出発した新しい商品デザインのあり方の提案 A-POC 三宅デザイン事務所
三宅一生
藤原大

2001年[27]
せんだいメディアテーク
伊東豊雄建築設計事務所
仙台市
伊東豊雄建築設計事務所

2002年[28]
モエレ沼公園 札幌市役所
イサム・ノグチ
イサム・ノグチ財団
ショージ・サダオ
アーキテクトファイブ

2003年[29]
乗用車 プリウス
トヨタ自動車 トヨタ自動車
テクノアートリサーチ

2004年[30]
こども向けテレビ番組 「ドレミノテレビ」 日本放送協会 日本放送協会
こども向けテレビ番組 「にほんごであそぼ」 日本放送協会 日本放送協会
佐藤卓デザイン事務所

2005年[31]
インスリン用注射針 ナノパス33
テルモ テルモ

2006年[32]
軽乗用車 i(アイ)
三菱自動車工業 三菱自動車工業 デザイン本部

2007年[33]
ニッケル・水素蓄電池 eneloop universe products
三洋電機 三洋電機

2008年[34]
乗用車 iQ
トヨタ自動車 トヨタ自動車

2009年[35]
岩見沢複合駅舎 北海道旅客鉄道 ワークヴィジョンズ
岩見沢レンガプロジェクト事務局

2010年[36]
エアマルチプライアー ダイソン
ジェームズ・ダイソン

2011年[37]

東日本大震災でのインターナビによる取り組み「通行実績情報マップ」
本田技研工業 本田技研工業 インターナビ事業室

2012年[38]
テレビ番組 「デザインあ」 日本放送協会 岡本健(佐藤卓デザイン事務所)
阿部洋介 (tha)
岡崎智弘 (swimming)
ミズヒロ

2013年[39]
該当なし[1]

2014年[40]
産業用ロボット 「医療医薬用ロボット VS050 SII」
デンソー
デンソーウェーブ
折笠弦(デンソー デザイン部)

2015年[41]
パーソナルモビリティ 「WHILL Model A」 WHILL 杉江理(WHILL 共同創業者)

2016年[42]
世界地図図法「オーサグラフ世界地図」

慶応義塾大学 政策・メディア研究科 鳴川研究室

オーサグラフ株式会社  


慶応義塾大学政策・メディア研究科

鳴川肇(オーサグラフ株式会社)・星鉄矢(株式会社ビーグルサイエンス)


2017年[43]
カジュアル管楽器 [Venova][44]

ヤマハ株式会社
ヤマハ株式会社 デザイン研究所 川田学、勝又良宏

ヤマハ株式会社 デザイン研究所 辰巳恵三


2018年(平成30年)
貧困問題解決に向けてのお寺の活動

[ おてらおやつクラブ ][45]



特定非営利活動法人おてらおやつクラブ

特定非営利活動法人おてらおやつクラブ 松島靖朗


Gマーク


グッドデザイン賞を受賞した製品等にはGマークを表示および刻印することができる。ただし主催者保有の商標のため販促活動に使用する際には使用料が必要である。使用料は、企業・団体の規模や販売価格ごとの設定に応じた措置はあるものの、最低20万円を支払わなければPOPやパンフレットに使用することはできない(受賞発表後の1ヶ月間をのぞく。受賞後10年目以降は無料[2])。家電量販店などに行けば、商品パッケージにグッドデザイン賞の名前とGマークが印刷されているのを見ることが出来る。公式サイトに掲載された2011年の国内調査によると、Gマークの認知率は87.7%にのぼり、1億人以上の日本人に知られていることとなる。また、58.5%の生活者がGマーク商品を「魅力ある商品」として購入時の選択に影響を受けていることもわかり、宣伝効果は高いと思われる。さらに、商品の販売促進だけではなく、受賞した企業自体の社会的価値の向上にも寄与し、好イメージをもたらす効用もあり、企業と生活者とをつなぐコミュニケーションの役割を果たしている。


なお、Gマークは1958年(昭和33年)に亀倉雄策が描かれたものである。



審査委員長




  • 深澤直人 2010年度-2012年度


  • 内藤廣 2007年度-2009年度


  • 喜多俊之 2004年度-2006年度


  • 川崎和男 2001年度-2003年度


  • 中西元男 1998年度-2000年度


  • 川上元美 1997年度



脚注


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出典




  1. ^ abグローバルデザイン2013選出過程 | 2013年度 | グッドデザイン賞受賞概要 | これまでの活動 | Good Design Award - 日本デザイン振興会 2013年11月7日閲覧
    得票数ではGoogleマップが最多得票数となり「グッドデザイン大賞」の候補だったが、「最も優れたデザインとは認めがたい」と政府に判断され該当無しに、同候補は「特別賞(グローバルデザイン2013)」扱いとなった。


  2. ^ ab費用(2014年度グッドデザイン賞 応募、審査の概要)


  3. ^ グッドデザイン・プレゼンテーション -GDP2006-


  4. ^ ミサワホーム公式ホームページ「新設されたグッドデザイン賞の特別賞「グッドデザイン・未来づくりデザイン賞」を受賞」(2013年11月7日発信)の本文中で確認できる。 - 2016年10月2日閲覧


  5. ^ “沿革”. 日本デザイン振興会. 2012年5月5日閲覧。


  6. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1980年). 2013年7月7日閲覧。


  7. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1981年). 2013年7月7日閲覧。


  8. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1982年). 2013年7月7日閲覧。


  9. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1983年). 2013年7月7日閲覧。


  10. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1984年). 2013年7月7日閲覧。


  11. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1985年). 2013年7月7日閲覧。


  12. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1986年). 2013年7月7日閲覧。


  13. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1987年). 2013年7月7日閲覧。


  14. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1988年). 2013年7月7日閲覧。


  15. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1989年). 2013年7月7日閲覧。


  16. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1990年). 2013年7月7日閲覧。


  17. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1991年). 2013年7月7日閲覧。


  18. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1992年). 2013年7月7日閲覧。


  19. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1993年). 2013年7月7日閲覧。


  20. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1994年). 2013年7月7日閲覧。


  21. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1995年). 2013年7月7日閲覧。


  22. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1996年). 2013年7月7日閲覧。


  23. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1997年). 2013年7月7日閲覧。


  24. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1998年). 2013年7月7日閲覧。


  25. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (1999年). 2013年7月7日閲覧。


  26. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2000年). 2013年7月7日閲覧。


  27. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2001年). 2013年7月7日閲覧。


  28. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2002年). 2013年7月7日閲覧。


  29. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2003年). 2013年7月7日閲覧。


  30. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2004年). 2013年7月7日閲覧。


  31. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2005年). 2013年7月7日閲覧。


  32. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2006年). 2013年7月7日閲覧。


  33. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2007年). 2013年7月7日閲覧。


  34. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2008年). 2013年7月7日閲覧。


  35. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2009年). 2013年7月7日閲覧。


  36. ^ “受賞対象一覧”. 財団法人日本デザイン振興会 (2010年). 2013年7月7日閲覧。


  37. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2011年). 2013年7月7日閲覧。


  38. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2012年). 2013年7月7日閲覧。


  39. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2013年). 2013年11月7日閲覧。


  40. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2014年). 2014年11月4日閲覧。


  41. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2015年). 2015年11月5日閲覧。


  42. ^ “受賞対象一覧”. 公益財団法人日本デザイン振興会 (2016年). 2016年12月3日閲覧。


  43. ^ “カジュアル管楽器 [Venova]”. Good Design Award. 2018年4月14日閲覧。


  44. ^ “ヴェノーヴァ™ - カジュアル管楽器 - 管楽器・吹奏楽器 - 楽器 - 製品情報 - ヤマハ – 日本” (日本語). jp.yamaha.com. 2018年4月14日閲覧。


  45. ^ “貧困問題解決に向けてのお寺の活動 [おてらおやつクラブ]”. Good Design Award. 2018年11月3日閲覧。




関連項目




  • 亀倉雄策 - 「Gマーク」を製作。


  • iFデザイン賞 - 国際的なデザインコンクール。


  • 世界ウルルン滞在記 (毎日放送・テレビマンユニオン制作のテレビ番組。2001年に審査委員長特別賞/メディアデザイン賞を受賞している。テレビ番組として初の受賞)


  • 東京ミッドタウン(2007年度からの公益財団法人日本デザイン振興会の所在地)


  • 明和電機 (組織として初の受賞)


  • 塊魂 (ゲームとして初の受賞)

  • 1/60イングラム (プラモデルとして初の受賞)


  • 稲川淳二 「車どめ」で受賞。


  • サイエンス・カフェ札幌 (サイエンスカフェとして初の受賞)



外部リンク


  • グッドデザイン賞 公式サイト



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