殺人は容易だ
殺人は容易だ Murder is Easy Easy to Kill | ||
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著者 | アガサ・クリスティー | |
訳者 | 高橋豊 | |
発行日 | 1939年6月5日 1978年12月31日 | |
発行元 | Collins Crime Club 早川書房 | |
ジャンル | 推理小説 | |
国 | イギリス | |
前作 | ポアロのクリスマス | |
次作 | 黄色いアイリス(レガッタ・デーの事件) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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『殺人は容易だ』(原題:Murder is easy {アメリカ: Easy to Kill } )は、1939年に刊行された、アガサ・クリスティの長編推理小説。終盤にバトル警視が登場する。
目次
1 あらすじ
2 登場人物
3 日本語訳
4 映像化作品
あらすじ
ルーク・フィッツウィリアムはロンドンに戻る途中の列車内で、ある老婦人と話をする。彼女はこれからロンドン警視庁に、自分が住んでいる村で連続殺人が起きていることと、その犯人を伝えに行く途中だった。別れ際彼女は、殺人はとても容易だと言い、人ごみに飲まれていった。翌朝の朝刊でルークは、昨日の老婦人が車にひき逃げをされて死亡したことを知る。彼は事件に興味を持ち、老婦人の住んでいた村に向かう。
登場人物
- ルーク・フィッツウィリアム - 元植民地の駐在警官。退職して帰国後ロンドンに向かう途中、偶然乗り合わせた客車でミス・ピンカートンと出会い、ウィッチウッド・アンダーアッシュ村での「殺人」の話を聞かされる。当初は半信半疑であったが、名前が出てきたハンブルビー医師の死去、ミス・ピンカートン自身の死去によって信じるに至り、事件を調べ始める。民俗学の本を書いていると職を偽り、ホイットフィールドの住むアッシュ荘に滞在する。
- ジミー・ロリマー - ロンドンに住むルークの古い友人。ブリジェットとはいとこで、昔から仲がいい。ルークの話に半信半疑ながらも、疑われず村に入れるよう便宜を図る。
- ブリジェット・コンウェイ - ホイットフィールドの秘書であり、婚約者。アッシュ荘は、元々は彼女の家族のもの。
- ホイットフィールド - 俗悪週刊誌の経営者だが、元々は村の靴屋の息子。俗物と見られており、村出身であることは隠している。子供染みたところがある。
- ラヴィニア・ピンカートン - ルークが列車の中で話した善良な老婦人。誰にも疑われず殺人を犯すことは容易であると断言し、ルークの興味を引く。村で行われている「殺人」について、ロンドン警視庁に相談に訪れるつもりであった。ルークと別れた直後、ホワイトホール(1967年まで旧ロンドン警視庁(スコットランドヤード)があった)路上で、ひき逃げされ死亡。
- ホノリア・ウェインフリート - 図書館員。オールドミス。ピンカートンの飼っていた猫(ペルシャ猫)、ウォンキー・プーの現在の飼い主。ホイットフィールドの元婚約者。
- エルズワージー - 骨董屋を営む青年。女のような顔をしており、黒魔術をかじっている。
- アルフレッド・ウィエク - 牧師。ローマの遺跡について関心がある。
- エドワード・ハンブルビー - 医学博士。多くの村人に愛されていた。急性敗血症で死亡。
- トーマス - ハンブルビーの助手で、先進的な医療を好む。ハンブルビーの娘と婚約している。
- ハリー・カーター - 居酒屋セブン・スターズの主人。飲んだくれで、妻や娘を虐待していた。橋の上から川に落ち溺死。
- ホートン - 退役軍人。愛犬家で、ブルドッグを飼っている。妻には優しく振舞っていた。
- リディア・ホートン - ホートンの妻。気性が強く、評判が悪かった。病弱で、症状は快方に向かったが急変し死亡。
- トミー・ピアス - 悪戯好きの少年。小さい子をいじめる鼻つまみ者。図書館の窓拭き中、落下し死亡。
- アボット - 事務弁護士。トミー・ピアスを雇っていたが、解雇した。
- エイミー・ギブズ - お手伝い。咳止めの薬とハット・ペイントを間違えて飲み死亡。
- ジム・ハーヴィ - 自動車修理工場の修理士。エイミー・ギブズの婚約者。
バトル警視 - ロンドン警視庁警視。
日本語訳
本作品は早川書房の日本語翻訳権独占作品である。
題名 | 出版社 | 文庫名 | 訳者 | 巻末 | カバーデザイン | 初版年月日 | ページ数 | ISBN | 備考 |
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殺人は容易だ | 早川書房 | ハヤカワ・ポケット・ミステリ379 | 高橋豊 | 1957年 | |||||
殺人は容易だ | 早川書房 | ハヤカワ・ミステリ文庫1-43 | 高橋豊 | アガサ・クリスティー著作リスト | 真鍋博 | 1978年12月31日 | 348 | 4-15-070043-5 | 絶版 |
殺人は容易だ | 早川書房 | クリスティー文庫79 | 高橋豊 | 解説 神命明 | Hayakawa Design | 412 | 4-15-130079-1 |
映像化作品
1982年、クロード・ワッサム監督、ビル・ビクスビー主演のアメリカのテレビ映画作品。時代を現代に移し、主人公ルークはオックスフォード大学の数学者で、犯人をコンピューターではじき出す。
アガサ・クリスティー ミス・マープル: 邦題「殺人は容易だ」 (2009年、イギリス、ITV)
- バトル警視は登場せず、ミス・マープル (ジュリア・マッケンジー) が解決する。ルークは村でマープルと出会い、助手役を務めるよう設定変更がされている。また、ラビニアはひき逃げではなく、階段から突き落とされて殺害されるという展開に変更されている。
- マープル役・ジュリア・マッケンジーの吹き替えは藤田弓子。ルーク役はベネディクト・カンバーバッチで、吹き替えは三上哲。
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