白
この項目では色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。 |
16進表記 | #FFFFFF |
---|---|
RGB | (255, 255, 255) |
CMYK | (0, 0, 0, 0) |
HSV | (-°, 0%, 100%) |
マンセル値 | N9.5 |
表示されている色は一例です |
白(しろ)は、全ての色の可視光線が乱反射されたときに、その物体の表面を見た人間が知覚する色である。無彩色で、膨張色である。白色(ハクショク、しろいろ)は同義語。「無色」の意味に含まれることもある。
目次
1 光源色としての白
2 物体色としての白
2.1 白と透明
2.2 白っぽく見せる
3 白の色料
3.1 炭酸カルシウム Calcium Carbonate
3.2 鉛白 White Lead
3.3 亜鉛華 Zinc White
3.4 リトポン Lithopone
3.5 チタン白 Titanium White
4 白変種
5 白に関する概念
5.1 西洋
5.2 東アジア
6 近似色
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
光源色としての白
white (webcolor) | ||
---|---|---|
| 16進表記 | #ffffff |
白は、人間の網膜の3種類の錐体(:L,M,S;(RGB表色系における)R,G,B;Red,Yellowish Green,Bluish - Purple/Purplish - Blue[1].)のすべてが「対等的、均質的」に強く刺激された場合に感じる色である。それ故、すべての波長の可視光線を「対等的、均質的」に含んだ光は無彩色的に見える(黒や灰・鼠に見える)。更に、強く反射していれば、白に見える。そして、その光を白色光と呼ぶ。これに因んで、すべての音の波長の信号が均等に含まれた全くランダムな音の波形のことをホワイトノイズ(白色雑音)と呼ぶ。
ただ、人間の目に白く見えるためだけならば赤、緑、青の3つの光を適切な比率での混合によっても実現でき、カラーTVのブラウン管の白色はそのようにして構成されている。蛍光灯に代表される照明機器の光も、可視光の全領域において均等ではない。そのような擬似的な白色光は物体表面で反射するときの特性が本来の白色光とは異なるため、色合いがやや不自然に見える場合もある。厳密な色の比較を行うことが要求される仕事では、標準光源とよばれる太陽光に近い特殊な照明装置を使用する。
また、ウェブブラウザでwhiteと指定したときは、#FFFFFFとして定義される。
物体色としての白
白と透明
物体がすべての波長の可視光線を(ほぼ)100%乱反射するとき、その物体は白いという。色材の発色の観点から見ると、白は他の色と著しく異なる。一般の色材は白色光の中の特定波長を吸収し、残りの波長領域が目に入って色として感じられるのに対し、白の色材は特定波長を吸収しないために、白色にみえる。
色材としての白の発色原理を概念的に説明すると、「透明ガラスを粉々にすると白い粉に見える」である。微細な粒子で乱反射させて白く見せているが、乱反射の効率を高めるために屈折率の高い素材が選ばれる。
塗料において白は不透明であるが(透明であれば、下層を透過して白く発色しない)、透明という事象の説明として、すりガラスの上に水を垂らすと透明になることが挙げられよう。透明というのは物質が密になり内部や外部の反射がなくなることである。このことは物理学者寺田寅彦が述べている。
自然の中では雪、雲、石英や石灰岩などで構成された白いビーチなどが、太陽光の散乱によって白く見えている。(ミー散乱)
白っぽく見せる
ワイシャツなどの衣類で、白さを強調するために蛍光染料を使用している場合がある。これは青以外の光のエネルギーを吸収して青く発光することで、黄ばむ傾向にある衣類の色合いを青めに補正して白く見せるものである。このような方法を使ったものとして、ほかには白色発光ダイオードがある。これは青色発光ダイオードに黄色を示す蛍光体をコートしたもので、発光ダイオード本来の青い光と蛍光体の黄色い光を混ぜて白い光としている。
白の色料
100%の反射率を持った「理想的な白色」の物体は実在しない。現在、ほぼ理想的な白色物質として利用されているのが酸化マグネシウムや硫酸バリウムであり、これらは可視光線のほぼ全領域にわたって99%以上の反射率を示す良好な白色素材である。工業的にはチタン白・二酸化チタンが多用される。鉛白は油絵具に使われる。
炭酸カルシウム Calcium Carbonate
炭酸カルシウム系顔料としては、白亜、大理石、ムードン、胡粉などがある。油性の媒材 (Binder) においては、屈折率の関係で透明になってしまい、白色顔料としては使用出来ない。
鉛白 White Lead
古代から使用されてきた白色顔料で、現在では油彩用顔料として使用されている。油彩のモデリング等において活躍する。組成は塩基性炭酸鉛 2PbCO3Pb(OH)2である。成分である鉛が触媒として作用し、展色材である乾性油の酸化重合を促すこと、絵具化に際して要求される油量が少ない為油の影響を受け難いこと、などの理由で乾燥性が良い。塗膜の上塗り及び下層に対する接着性が良く、亀裂の発生も少ない。この性質は、鉛白の結晶が板状であり、塗膜に層状に配列することによると考えられる。カドミウムイエローやウルトラマリン ブルーなどと混合しても大抵は問題を起こさないが、硫黄化合物と混合すると黒変の可能性がある。毒性があるので、長期にわたる皮膚などからの摂取には注意を要する。硫黄にあって黒変する。水性絵具では硫黄成分を遮断できないので、水性絵具には適さない。
クレムニッツ白として有名な鉛白は、クレムニッツ法によって得られる。しかし絵具化するとチューブの中で粗粒となる。また、白色度も最高ではない。新しい製法として、1955年頃から「電気分解法」が日本で採用されるようになった(三井金属)。99.998%という純度の高い電気鉛を使用し、電解液中に炭酸ガスを吹き込み、電気分解を連続操作で行うなど、近代設備でコントロールし製造する。この鉛白は均質で白色度も高い。国産鉛白絵具を支える顔料である。White Lead[2]とも言われる。
亜鉛華 Zinc White
亜鉛華は、ヨーロッパでは中世から知られていたが、工業的に生産されるようになったのは1830年代である。絵画用として使用されるようになったのはこれよりさらに時代が下がる。油絵具では乾性油と反応し塗膜に亀裂、剥離を起こすことがある。酸化亜鉛 ZnO。
リトポン Lithopone
リトポンは1874年頃、イギリスでジョン・オアが初めて作り特許を取得した。開発当初黒ずむ傾向が強かった為、絵画用としては普及しなかった。現在ではこの欠点も改善されている。硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物。
チタン白 Titanium White
1920年代から本格的に工業生産されるようになった。白色顔料中で屈折率と着色力は最も大きい。現在では塗料用白色顔料としては最も大量に生産されており、光触媒としての活用も盛んである。酸化チタン、二酸化チタン TiO2。
白変種
生物学では稀に、色素が欠乏した為に白く見える個体が生まれる事例が知られており白変種・アルビノなどと呼ばれる。シロヘビは岩国市にのみ生息する蛇で、アオダイショウの突然変異とされ遺伝的に安定した例は、大変珍しく貴重である。1924年には生息地が国の天然記念物の指定を受け、1972年にはシロヘビそのものが国の天然記念物となった。
白に関する概念
西洋
英語の "white" は「善意」、「純粋」などの意味を包含し[3]、日本語では無実・無罪を俗に白(シロ)という[4]。また、これらに近い意味として「好ましいもの」を指して「ホワイト○○」(例:ホワイトリスト、ホワイト企業)といわれる。
ヨーロッパの紋章学では白色は「金属色」の「銀色(アージェント (紋章学))」と結び付けられる。
東アジア
中国の五行思想で白は金に対応する。方位は西であり、西方を守る神獣が白虎である。
白虎を尊ぶだけでなく、白雉を瑞祥とするなど白を尊ぶ思想はあったが、服の色としては凶色であった。金徳を自認した晋は服色として赤を尊んだが[5]、これは白を嫌ったためとされる[6]。
しかし古代の日本で白は神聖な最高の服色とされた。養老律令の衣服令は朝廷における皇太子以下皇族臣下の服の色を細かく定める規定だが、そこでは白を最高の服色としながら、白い衣を着ることを許される身分がない[7]。明記されないのは律令が天皇を規律しないためで、朝廷では天皇だけが白衣を着ることができたのである[8]。そして白い動物も尊ばれた。『古事記』には神が白い鹿・猪に化し、倭建命(ヤマトタケル)が死後白鳥になったとある[9]。飛鳥時代から平安時代にかけて白い動物が見つかったことを瑞祥として改元した例が複数ある。最古の例は白雉で、大化6年(650年)2月に穴戸国(長門国)より献上された白雉により改元した[10]。元号の名に白をとったのはこれだけだが、白亀によって神亀、宝亀、嘉祥、仁寿に改元になった。白鹿によって天安、元慶が立てられた。元慶のときは白雉も見つかっていた。近代には沖縄県宮古島から島馬の白い馬が生まれたので、幼少の昭和天皇に献上された。民謡「なりやまあやぐ」に歌われている。
近似色
- 灰、鼠。グレー(色)
- 乳白色
- クリーム色
- アイボリー
- 銀色
脚注
^ 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001/4 ISBN 4130820850
^ 『絵画材料事典』ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
^ 『ウィズダム英和辞典』三省堂、2007年。
^ 出典:米川明彦編『日本俗語大辞典(第3版)』東京堂出版 2006年 295頁
^ 『晋書』巻二十五(輿服志)。
^ 武田佐知子『古代国家の形成と衣服制』(吉川弘文館、1984年)140頁、180頁注10。
^ 井上光貞・関晃・土田直鎮・青木和夫校注『日本思想大系 律令』、351-358頁。服色条は354頁(岩波書店、新装版1994年、初版1976年)。
^ 内田正俊「色を指標とする古代の身分の秩序について」(『日本書紀研究』第19冊、塙書房、1994年)15頁。
^ 『古事記』中巻、倭建命が東征の帰途足柄の坂で遭った神が白鹿(岩波文庫版123頁)で、『日本書紀』では信濃国の山中とする(巻第7、景行天皇40年是歳条。新編日本古典文学全集版380-381頁)。伊吹山で遭った神が白猪(『古事記』125頁)で、書紀では大蛇とする(『日本書紀』同条、382頁)。倉野憲司校注『古事記』、岩波書店(岩波文庫)、1963年。小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校訂・訳『日本書紀』1、小学館(新編日本古典文学全集 2)、1994年。
^ 『日本書紀』巻第25、白雉元年2月戊寅(9日)条。新編日本古典文学全集版380-381頁。小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校訂・訳『日本書紀』3、小学館(新編日本古典文学全集 4)、1998年。
参考文献
- 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001/4 ISBN 4130820850
- 『色彩論の基本法則』ハラルド キュッパース (著), Harald K¨uppers (原著), 沢田 俊一 (翻訳) 中央公論美術出版 1997/07 ISBN 9784805503348
- 『顔料の事典』 伊藤 征司郎(編集) 朝倉書店 2000/10 ISBN 978-4254252439
- 『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994/5(新装普及版) ISBN 480550286X
- 『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878
- 『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533
- 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
- 『広辞苑 第五版』新村 出 岩波書店 1998/11 ISBN 978-4000801126
- 『漢字源』漢字源 藤堂 明保,竹田 晃,松本 昭,加納 喜光 学習研究社 改訂第四版 (2006/12) ISBN 978-4053018281
- 『漢字源』藤堂 明保,竹田 晃,松本 昭,加納 喜光 学習研究社 改訂新版 2001/11 ISBN 978-4053008893
- 『ジーニアス英和辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第3版 2001/11 ISBN 978-4469041583
- 『ジーニアス和英辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第2版 2003/11 ISBN 978-4469041651
関連項目
色名一覧 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
あ | い | う | え | お | | は | ひ | ふ | へ | ほ |
か | き | く | け | こ | | ま | み | む | め | も |
さ | し | す | せ | そ | | や | ゆ | よ | ||
た | ち | つ | て | と | | ら | り | る | れ | ろ |
な | に | ぬ | ね | の | | わ | 他 | JIS |
- ホワイト
- 明度
- 黒
- 色
- 色名一覧
- 日本の色の一覧
- 白で始まる記事の一覧
ウェブカラー | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0F | 白 | 黒 | 赤 | 黄色 | ライム | 水色 | 青 | フクシャ |
08 | 銀色(0C) | 灰色 | マルーン | オリーブ | 緑 | ティール | ネイビー | 紫 |