ホットドッグ
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ホットドッグ(英語: hot dog)は、ソーセージを細長いバンで挟んだ食品である。なお、英語の"hot dog"は、ソーセージ単体と、ソーセージを細長いバンで挟んだ食品との両方の意味を持つ[1]。
目次
1 概要
2 具材
3 名称
4 歴史
5 言葉
6 ホットドッグに関連した作品
6.1 映像作品
6.2 ゲーム
7 出典
8 関連項目
概要
アメリカ合衆国ナショナル・ホットドッグ・ソーセージ評議会の声明によれば、ホットドッグはサンドイッチの一種ではなく、独自の食種に区分される[2]ということである。
ホットドッグに用いるソーセージは、通常、湯煎あるいは直接茹でて温めるか、焼網や鉄板などの上でグリルされる。店舗や屋台においては保温機能を持つ回転式の専用グリラーが使用されることが多い。パンは常温で用いる以外にも、トーストしたりスチームしたり店や好みによって様々である。
味付けはマスタードが基本であり、好みに応じてトマトケチャップ、タマネギやピクルスを細かく刻んだレリッシュ、ザワークラウトなどが用いられる。チリミートをかけたチリドッグ、溶かしたチェダーチーズをかけたものや、トマトなどの野菜を挟んだシカゴドッグ、サルサをかけたサルサドッグなどさまざまなバリエーションがある。
具材
アメリカのホットドッグに用いられるソーセージは太さ2~3cm、長さ15~16cmほどのフランクフルトが標準的であるが、日本ではそれより細くやや長めのものが用いられることが多い。素材はアメリカが牛肉あるいは牛豚混合の絹挽きが主であるのに対して、日本では豚肉の荒挽きが使われることが多く、また1960年代頃までは小ぶりのウインナーソーセージや魚肉ソーセージなどで代用されることも珍しくなかった。これは戦後の日本においては牛肉が高価な食材であり、ソーセージの材料として用いられることがほとんどなかったことや、豚を原料としたドイツ式のソーセージのほうが先に紹介され、本格的とされたことなどに起因すると考えられる。
ホットドッグ用のパンについては、北米では柔らかく甘みのあるやや角張った小さめのものが用いられるのに対して、日本ではコッペパンを小型にしたような形状のロールパンや、表面の固いフランスパンのような生地のものが好まれる傾向にある。また、日本では通常はパンの底面に対して垂直に切り込みが入れられるが、日本以外のほとんどの国では水平にスライスされる。日本の一部チェーン店では、ナンを用いたナンドッグも販売されている。
昭和の時代には日本でも移動販売車や駅構内などのスタンドが数多くあり、小型のロールパンに赤いウインナーとカレー粉で炒めたキャベツなどを挟んだものがホットドッグとして売られていた(ドイツでも、カレー味の味付けとソーセージの組み合わせであるカレー・ヴルストという屋台料理がある)。古い喫茶店では、ソーセージと炒めたキャベツを挟んでトーストした物がホットドッグとして供されていた。提供する際に、真ん中付近で斜交いに2等分にカットされることが多い。
名称
アメリカにおいてソーセージのことをドッグという俗称で呼ぶようになったのは19世紀の中ごろからと考えられている。
生活文化ジャーナリストの加藤裕子によると、名称の由来については「フランクフルトをダックスフントに見立てて『ホットドッグ』と説明文を添えた新聞漫画から広まった」、「当時、犬の肉が入っているという都市伝説があったソーセージをドッグとあだ名するようになった」など諸説あるという[3]。
英語のhot dogは、ソーセージを細長いパンに挟んだ食品だけでなく、この種のソーセージそのものも指す単語である。このためホットドッグ用に作られたソーセージ単独の状態もホットドッグと呼ばれる。
日本においては、その中身よりもパンにソーセージを挟むというスタイルそのものが注目されたため、ドッグバンを用いたサンドイッチであれば、中身がソーセージでなくとも「~ドッグ」と呼ばれる例がしばしば見られる。また熱いソーセージを食器を用いず食べるという本来の目的からは離れて、ソーセージを具材とした調理パンという主従関係が逆転した認識で捉えられることも多い。
またホットドッ「ク」という表記もしばしば見られ、商品名として採用している会社も存在する[4]。
2016年、アメリカのプレッツェルチェーン、アンティ・アンズが、マレーシアにおいて自社製品のプレッツェルドッグ(プレッツェル生地でソーセージを巻いた食品)にハラル認証を求めたところ、ドッグの語感がイスラム教では不浄な存在にあたる犬(dog)に通じるとして当局から難色を示された。結果的にアンティ・アンズは、ドッグの名を外す改名を行っている[5]。
歴史
熱いソーセージをパンに挟んで供するという工夫はドイツからやってきた移民達によって伝えられたと考えられている。ソーセージを掴んで食べるための手袋を貸していた売り子が、それを持ち去る客に困惑し、代案としてパンに挟むことを思いついた[6]という伝説もある。このスタイルがアメリカ合衆国において広まるきっかけを作った人物はコニーアイランドで屋台を開いていたチャールズ・フェルトマン(フェルトマンの使用人のネイサンが始めたホットドッグスタンドがネイサンズである)や、ポロ・グラウンズの売り子であったハリー・スチーブンスなど諸説あるが、定かではない。いずれにせよ19世紀後半のニューヨークではこうした形の食べ物が認知され、様々な場所で販売されていたことは間違いのないところである。
ドイツのソーセージは本来豚肉を原料としていたが、アメリカに伝来してからはより入手しやすい牛肉が主に使われるようになった。現在では牛肉以外にも豚肉、鶏肉、七面鳥、およびそれらのブレンドなどに加え、大豆たんぱくを用いたベジタリアン・ホットドッグまでも生産されている。
アメリカでは1人当たり年間60食を消費していると言われ、国民食の代表として位置づけられている。特に野球観戦とホットドッグの繋がりは深く、ドジャー・ドッグ(ドジャー・スタジアム)、フェンウェイ・フランクス(フェンウェイ・パーク)など、野球場にはそれぞれ名物とされるホットドッグがある。
1916年より、毎年7月4日にニューヨークにおいて「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」が開催されており、2001年から6連覇を果たした小林尊など日本からの参加者が上位に入賞することがある。
言葉
hot dogという語は、アメリカ合衆国において、驚きや喜びを表す感嘆詞、あるいは有能な人材や目立ちたがり屋の喩えなどとして用いられることがある。後者の場合には、hotdog等とも綴る[1]。
中国語では熱狗といい、hot dogのおのおのの語彙を漢字に当てている。日本とは違ってバンに挟んだ状態に限らず、英語同様にソーセージそのものも意味する単語である。中国や香港、台湾のコンビニエンスストアで熱狗として売られているものは、大抵が日本でもおなじみの温めた串つきソーセージである。
東ドイツでは、かつてKetwurst(ケートヴルスト)と呼ばれていた。ケートとはドイツ語でのケチャップの最初の三文字を採ったもので、ヴルストとは同じくドイツ語で腸詰めを意味する。ケートヴルストは東ベルリンを訪れる訪問客の人数に対して飲食店が不足気味という事情を改善するために、1977年ないし1978年に考案された。製法は独特なもので、まず熱せられた太い金串に細長い小麦パンを刺して、パンに穴を通すと同時に内側から温め、そこへ湯煎してケチャップを塗った腸詰めを差し込むというものだった。
ホットドッグに関連した作品
映像作品
- ドキュメンタリー「アメリカ人は何を食べてきたのか」第3回「ホットドッグ」(専門チャンネル:ヒストリーチャンネル)
- ドキュメンタリー「美味しさのテクノロジー」第9回「ホットドッグ」(専門チャンネル:ヒストリーチャンネル)
- 映画 「ペーパー・ムーン」 劇中に登場するホットドッグを、登場人物が 「コニーアイランド」 と呼んでいる。日本語字幕は「ホットドッグ」。
ゲーム
- ホットドッグストーム(1996年のアーケード用シューティングゲーム)
出典
- ^ abHotdog Dictionary.com
^ National Hot Dog and Sausage Council Announces Official Policy On 'Hot Dog as Sandwich' Controversy National Hot Dog and Sausage Council、2015年11月6日
^ ホットドッグはなにが「ドッグ」なのか?日刊SPA! 2014年1月4日
^ ホットドックドトールコーヒー
^ ハラル取得に「ドッグ」駄目=米チェーンが商品名変更時事通信(2016年11月29日)2016年12月3日閲覧
^ 21世紀研究会編『食の世界地図』文藝春秋・70P
関連項目
- ホットドッグカート
- ホットサンド
- ウィンナーモービル
- アメリカンドッグ
- ハンバーガー
- ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権