コンピュータエンターテインメントレーティング機構


















































コンピュータエンターテインメントレーティング機構
Computer Entertainment Rating Organization

CERO-logo.png
団体種類
特定非営利活動法人
設立
2002年6月
所在地
東京都千代田区鍛冶町二丁目3番1号 神田高野ビル4階
北緯35度41分27.99秒東経139度46分19.84秒座標: 北緯35度41分27.99秒 東経139度46分19.84秒
法人番号
4010005007093
起源
コンピュータエンターテインメント協会
主要人物
理事長:島田 仁郎
活動地域
日本の旗 日本
主眼
ゲームソフトウェアの年齢別レイティングの実施
活動内容
ゲームソフトウェアの審査事業
ウェブサイト
http://www.cero.gr.jp/
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特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(コンピュータエンターテインメントレーティングきこう、英: Computer Entertainment Rating Organization、略称: CERO(セロ))は、家庭用ゲームソフトおよび一部のパソコンゲームを対象とする表現の倫理規定の策定及び審査を行う、日本の特定非営利活動法人。




目次






  • 1 設立経緯


  • 2 レイティング制度


    • 2.1 設立当初の区分


    • 2.2 2006年3月以降の区分


    • 2.3 表現の規制




  • 3 コンテンツディスクリプターアイコン


  • 4 審査


    • 4.1 懲戒処分・再審査事例




  • 5 レイティングに関する意識と意見


  • 6 脚注


    • 6.1 注釈


    • 6.2 出典




  • 7 関連項目


  • 8 外部リンク





設立経緯


2002年6月、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の関連団体として設立され[1]、同年10月から審査が開始された[2]。2003年12月には東京都より特定非営利活動法人として認証された[3]


暴力的、性的、反社会的な表現や、言語及び思想に関して独自の倫理規定を策定し、それに基づいて審査されるゲームソフトの対象年齢を決定するのを主な業務としている。


CEROの設立以前は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(PlayStation・PlayStation 2)、セガ(ドリームキャスト)、マイクロソフト(Xbox)、任天堂(ニンテンドーゲームキューブ・ゲームボーイアドバンス)を主とした、各ゲーム機のメーカー(ライセンサー)による独自の基準を元に審査を行っていたが、同内容のゲームでもSCE・セガ・マイクロソフト・任天堂の間で審査の基準に食い違いが生じ、場合によっては内容の修正を余儀なくされることもあった。


こうしたメーカー別の基準を統一し、業界団体レベルで執っていくことでゲームソフトに対する批判に応える目的の他、他国より遅れていたレイティングを補完する目的のために設立された[2]


CEROは会員制度をとっており、CEROの目的に賛同して入会した個人および団体を正会員、目的に賛同し賛助するために入会した個人および団体を賛助会員と定義している。事実上国内市場で販売する際にはCEROの審査が強制化しており、当初審査体制に疑問を持つ会社もいたが、ほとんどのメーカーが審査を受けるために会員になっている[4]



レイティング制度


レイティングの策定にあたってはアメリカ・カナダの審査団体エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(Entertainment Software Rating Board、略称:ESRB)を参考に決定された[2]




































審査対象プラットフォーム・サービス
メーカー プラットフォーム
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
PlayStation・PlayStation 2・PlayStation 3・PlayStation 4
PlayStation Portable・PlayStation Vita[注 1]
セガゲームス
ドリームキャスト
任天堂
ニンテンドーゲームキューブ・Wii・Wii U・Nintendo Switch[注 2]
ゲームボーイアドバンス・ニンテンドーDS・ニンテンドー3DS
日本マイクロソフト
Xbox・Xbox 360[注 3]・Xbox One
バンダイ
ワンダースワンカラー
その他のメーカー
PCゲーム[注 4]

携帯電話・スマートフォンのアプリ[注 5]
クラウドゲーム・サービス

審査対象にアーケードゲームは含まれていない[5]


ただし、パーソナルコンピュータのうち恋愛ゲーム、特にアダルトゲームに分類されるものについては、CEROの設立以前から存在するコンピュータソフトウェア倫理機構または日本コンテンツ審査センターによって審査されている。


CEROのレイティングには、設立当初からのものと2006年に改正されたものの2種類が存在する。



設立当初の区分






































レイティング区分 備考

CERO free.svg

全年齢対象
設立当初より設定されていたレイティング区分。

CERO 12.svg

12才以上対象

CERO 15.svg

15才以上対象

CERO 18.svg

18才以上対象

CERO Kyouiku Deitabeisu.svg

教育・データベース
後から追加されたレイティング区分だが設立当初から設定が予定されていた。
対象年齢を定めず、教育またはデータベース系に該当し、ゲーム性を持たないソフトウェアが区分される。

CERO Shin Sa Yo Tei.svg
審査予定

2003年に追加されたレイティング区分で、販促物などに表示される「審査予定」は販促物などに、
「CERO規定適合」は体験版に表示される。これらについては後にCEROの審査を受ける予定または進行中という意味がある[6]

CERO Kitei Teikikou.svg
CERO規定適合


2006年3月以降の区分






2006年2月17日、社団法人コンピュータエンターテインメント協会が、同年3月以降の審査分からこれまでのレイティング区分を変更することを発表した[7]


これまでの区分では対象年齢以上推奨にとどまり、販売および頒布に対しては明確な制約は加えられていなかったが、神奈川県知事松沢成文(当時)らが『グランド・セフト・オートIII』を有害図書に指定し、さらに神奈川県や東京都をはじめとする地方自治体の要請から、レイティング区分を見直し、これまでの「18才以上対象」を分割し、「Z(18才以上のみ対象)」と「D(17才以上対象)」の2区分を新たに設けた。


「Z(18才以上のみ対象)」に区分されたゲームソフトは流通業界・販売店による自主規制により、その年齢に満たない者への販売及び頒布を禁ずると共に年齢の確認を要することとし、青少年保護育成条例においても有害図書扱いとされるようになった[8]ことに加え、CESAが行った「CERO年齢別レーティング制度の第4回実態調査結果」(2010年3月)により、保護者(第三者)が「Z」区分のソフトを代理で購入するようになったと指摘されたため、「保護者がプレイするために購入するのか」を確認するなどの対応もとられるようになっている[9]


2009年9月現在、条例が施行されている46都道府県中13府県で団体指定されている。それ以外の区分についてはこれまで通り年齢に関わらず購入には問題ない。コンビニエンスストアや一部の量販店(トイザらス、イトーヨーカ堂など)ではZ区分については取り扱わない方針を取っている店舗もある。


改訂にともない、改訂以前に発売された「18才以上対象」に区分された一部のゲームソフトは、暴力や犯罪などの表現とその度合いにより「18才以上のみ対象」あるいは「17才以上対象」のいずれかに分けられた。また、区分を分かりやすくするため、対象年齢の数字からA・B・C・DおよびZの英文字を大きく出す形に変更され、さらにパッケージの背表紙部分には区分ごとに異なる色も設けられた(以下の表の通り)。






































レイティング区分 対象年齢 背表紙帯色

CERO A.svg
A
全年齢対象
黒 ()

CERO B.svg
B
12才以上対象
緑 ()

CERO C.svg
C
15才以上対象
青 ()

CERO D.svg
D
17才以上対象
橙 ()

CERO Z.svg
Z
18才以上のみ対象
赤 ()

また、「教育・データベース」および「審査予定」のものに対しては、以前のレイティング制度から変更はされていない。また、背表紙の区分部分の背景色も用意されていない。



表現の規制


CEROの倫理規定(第7条および別表3)には(直接・間接的な)性行為・性器の描写や、過度に暴力的、反社会的な言語、思想、差別表現に対しては「禁止表現」と定め、それに該当する表現が含まれる場合はレイティングを与えられない[10]。審査を受けていないゲームを販売店が取り扱うことはほとんどないため、CEROからレイティングを受けられないゲームはほぼ販売不可能になる。


日本国外で開発されたゲームソフトをローカライズする際、ある程度表現を修正してからCEROの区分を受けて発売されることがある。事例としてはRockstar Gamesが発売し、日本ではカプコンによって発売されたグランド・セフト・オートシリーズ(『III』から『バイスシティ・ストーリーズ』まで)は、CEROの倫理規定に基づきいくつかの機能の削除や仕様変更を行ってからローカライズされたが、それでもなお「18才以上のみ対象」に区分されている[11]


また、ベセスダ・ソフトワークス/ゼニマックス・アジアによってローカライズされた『Fallout 3』にも同様の規制がなされており、この中で特に核についての表現に問題があることが新たに明らかになった[12]


核兵器や放射線(放射能)の描写に関しては、全てがCEROの禁止表現になっているわけではなく、事例として『エースコンバット5』については、核弾頭の起爆場面が描写されているシーンが、さらに『ZERO』においては、実際のゲームプレー中にあらかじめ敵軍が仕掛けた核弾頭が起爆するイベントがあり、シーンカットにおいても前作と比べてより詳細な描写がなされている。しかし両タイトルともCEROのレーティングでは「A」に区分されているため、戦争や兵器に対しては(日本国外と比して)比較的寛容になっている(ESRBでは核兵器に関する表現はチェック対象であるため「T(13歳以上対象)」に区分されている)。2011年になって東日本大震災と福島原発がメルトダウンを起こしたことで、「Brink」にあるメルトダウンを起こすミッションが削除されている。


外国製のタイトルの中には一部の店舗では取り扱わない方針であることから販売面で不利になるため、「Z」区分を回避するよう過激な表現を削り、「D」区分に引き下げてでも販売の裾野を広げる例もあり、エレクトロニック・アーツから発売された『JUST CAUSE ビバ・レボリューション』(「Z」区分)の続編で、スクウェア・エニックスによりローカライズ・発売された『JUST CAUSE 2』は、一部の表現を変更して「D」区分で発売しているが、その続編のJUST CAUSE 3では海外版と同様の表現を行い[13]「Z」区分となっている。


それ以外にも、(国産・海外産を問わず)「過度な残酷表現」が多く含まれ、「18才以上のみ対象」の範囲でも修正が困難なため、国内での販売が不可能なゲームを多く出したこと[14]で、結果的に日本市場では発売されないソフトもある。「(CEROの規制が厳しい)日本市場だけに合わせて手直しするよりは、むしろ最初から投入しない」という方針をとる外国メーカーもある。国内メーカーでも、最初から外国市場を前提にし、国内市場投入をほぼ考えていないゲームを製作するメーカーも存在する[15][注 6]



コンテンツディスクリプターアイコン


上記とは別に、ゲームに含まれているいくつかの表現をアイコンにして明示させるのがコンテンツディスクリプターアイコン(単にコンテンツアイコンとも)であり、パッケージの裏面に記載されている。ニンテンドーeショップ、PlayStation Store、Xbox Games ストアでも同様に対象年齢と併記されている。


ゲームソフトの公式サイトでは、対象年齢のみ記載しておりコンテンツアイコンの併記をしていないものが殆どだが、一部のゲームソフトの公式サイトではコンテンツアイコンの併記をしているものもある。また、ゲームハードメーカーによるサードパーティーソフトを含めた一部のゲームソフトの商品情報ページ[注 7]や、一部ゲームメーカーのショッピングサイト[注 8]でもコンテンツアイコンの併記をしているケースもある。


2004年4月から設けられ[16]、全年齢対象および教育・データベースを除いた区分には必ず明示される[17]


コンテンツアイコンには以下の9種類がある。アイコンのデザインは公式サイトを参照。





















































コンテンツアイコン 内容 備考

恋愛(2つのハートマーク)
異性愛・同性愛などに対して設定される。
セクシャル(性別記号の♂と♀を組み合わせたもの) 半裸・下着・水着など肌の露出が多い衣装や、
セクハラに相当する言動(身体を触るなど)に設定される。


暴力(ナイフを握った左手)

喧嘩、拷問、武器類の使用による戦闘、
対戦格闘、戦争、兵器などに対して設定される。

ボクシングやプロレスなどの格闘技にも設定される。

恐怖(幽霊)
出血や死体の描写など、過度に恐怖感を煽る表現に対して設定される。

飲酒・喫煙(カクテル・グラスと煙草)
未成年者の飲酒・喫煙、及びそれらを肯定・奨励する表現に対して設定される。 成人の飲酒・喫煙には設定していないが、
日本国外(ESRBなど)では「(成人の)飲酒・喫煙が含まれる」と注意を促すこともある。

ギャンブル(円記号の書かれた袋)
金品を賭ける違法なギャンブル(賭博罪に相当)に対して設定される。
日本国外ではギャンブル自体そのものに対してアイコンが付けられることがある。
『Wi-Fi対応 世界のだれでもアソビ大全』の場合、
PEGIではポーカーやブラックジャックがギャンブルにあたるとして「12+」に区分されている。

犯罪(拳銃)

殺人、強盗などの法令に反する行為や犯罪(者)を肯定する表現に対して設定される。


麻薬(注射器)
麻薬・覚せい剤・ドラッグその他違法な薬物を使用するか、
それらを肯定したり取引するなどの表現に対して設定される。
医療で使用する場合にも設定される。
言葉・その他(バツ印の書かれたふきだし)
差別用語・放送禁止用語などの不快な言葉の使用や、
第三者(特に実在の国・人種・宗教など)に対する差別的な表現、
その他反社会的な行為や思想に対して設定される。


これらに抵触すると認められた表現があれば、該当するアイコンが与えられるが、ソフトによっては以下の例のようにコンテンツアイコンの表記順が上記の通りでない場合もあり、表記の順番と根拠や意味については公表されていない。



  • コンテンツアイコンは「セクシャル、暴力」だが、実際には「暴力、セクシャル」の順で表記されている場合がある(『鉄拳6』、『無双OROCHI Z』など)。

  • コンテンツアイコンは「暴力、犯罪」だが、実際には「犯罪、暴力」の順で表記されている場合がある(『メタルギアソリッド4』、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』など)。


また、発売時期やレーティングの違いにより、同一タイトルであってもハードごとでコンテンツアイコンが異なるケースもある(『水の旋律』、『11eyes CrossOver』など)。


上述した一部ゲームソフトの公式サイトでのコンテンツアイコンの併記において誤った情報が掲載されることがある。



  • 『ALAN WAKE』では、公式ページに併記されたコンテンツアイコンは「暴力、言葉・その他」だが[18]、実際には「恐怖、セクシャル、恋愛、暴力」であった。

  • 『テニスの王子様 ぎゅっと! ドキドキサバイバル 海と山のLove Passion』では、公式サイトに併記されたコンテンツアイコンは「恋愛」だが[19]、実際には「セクシャル、恋愛」であった[注 9]

  • 『戦国BASARA 真田幸村伝』では、イーカプコン内の商品情報ページに併記されたコンテンツアイコンは「恋愛、セクシャル、暴力、犯罪、言葉・その他」だが[20]、これはシリーズ作品である『戦国BASARA4』『戦国BASARA4 皇』のものであり、実際には「犯罪、セクシャル、暴力」であった。


また、パッケージにおいて誤ったコンテンツアイコンが表記されることがあり、『スクールガールゾンビハンター』では、実際のコンテンツアイコンが「セクシャル、暴力」のところ、パッケージでは誤って「セクシャル、犯罪」と表記されている[21]


なお、過度な悪印象を与える暴力、犯罪などの表現を含むソフトが指定の対象となる「Z」区分ソフトに対しては「暴力、犯罪」またはいずれか一方のみしか与えられていない。「18才以上対象」から「Z」区分に変更されたソフトは、全て新基準への移行の際にコンテンツアイコンが「なし」に変更されている[注 10]



審査


審査員には公平かつ偏向を防ぐことから、20歳以上で、かつゲーム関連企業に携わらない者であれば応募できるようになっている[22]


審査の手順は



  1. 審査の対象となるゲームの映像と、希望する年齢区分を明記した問診票、世界観などを記述した資料、審査依頼票をCEROに送付する。

  2. それらの情報を、審査基準を元に作成されたマニュアルに基づき、3人の審査員が対象年齢を決定する。

    ゲームソフトによっては、複数のタイトルを1本のパッケージとして収録する形式(オムニバスゲーム)もあるが、この場合も収録の全タイトルを審査する。

    複数のタイトルを収録する場合、(「A・B」区分が混在するように)対象年齢の区分が混在する場合もあるが、この場合は対象年齢が最も高い方を採用する。以下にメーカーによる明記があるものを上げる。


    レベルファイブより発売の『GUILD01』では、各自ゲームの単独販売において『CRIMSONSHROUD』が「B」区分となっており、『解放少女』『レンタル武器屋 de オマッセ』『AERO PORTER』の3タイトルが「A」区分となっている[23]

    ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)より発売のナムコミュージアム Vol.2では、収録タイトル中『ローリングサンダー』のみが「12才以上対象」区分となっている[24]





  3. 審査結果をメーカーに返送する。ここでメーカーが同意すれば審査を終了し、不同意の場合は再度審査する。

  4. ゲームソフトの完成後、保存用にソフト1本をCEROへ納品する。


のようになっており[2][3][22][25]、早ければ発売予定日の2〜3ヶ月前に審査を終了、遅くても1ヶ月程前までに審査を終了し、対象年齢が発表される。


ゲームソフトの審査を依頼する側は審査料金を支払う必要がある[3]。非会員の場合でも審査は可能であるが、会員の3倍となる[26]



懲戒処分・再審査事例



メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜

『メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜』のCEROレーティングは「A」(全年齢対象)と指定されていたが、2011年7月27日に「A」区分では不適切な箇所があったこと、制作販売したガストが審査の際その箇所について提示していなかったことが指摘され、ガストに対して懲戒処分およびレーティングの再審査を行うこととなり、ガストは再審査の期間中における出荷を停止した[27]。翌々日の29日にはレイティングが「B」に引き上げられ、「セクシャル」のコンテンツディスクリプターアイコンが追加されたことが発表された[28]

具体的にどのような内容が問題となったのか公表されていないが、同作のキャラクター画像を担当した岸田メルは自身のTwitter上で、作中における男性キャラクターの入浴シーンに、男性の臀部を晒す表現があったことに問題があったという見解を示している[29]

なお、次回作の『アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜』以後のアトリエシリーズのナンバー作品はすべて、「B」レイティングかつ「セクシャル」アイコンつきで発売されている。



レイティングに関する意識と意見


「Z」区分を除いて購入に対する制限が設けられていないため、「D」以下に区分されるゲームソフトはその年齢を満たしてなくても購入できる(販売店によっては、「D区分」までならどなたでも購入可能と、その旨を告知していることもあるほか、コンビニや一部の量販店では「Z」区分を取り扱わないところもある)。


2018年現在、家庭用ゲームハード向けのソフトでは任天堂・SCEはCEROのレーティングを受けていないソフトの発売を認めていない[30][注 11]。コンパイルハートより発売されたDS用ソフト『DSで読むシリーズ手塚治虫 火の鳥』はパッケージにもレーティング表記がされておらず[31]3DSのeショップで配信されているソフトの一部(内容的にゲームといえないものが該当)にはCEROのマークが表記されていない。マイクロソフトについてはCEROの他に2018年よりダウンロード販売に限り国際年齢評価連合(IARC)を採用した。


PC用ゲームソフトの場合、一般向けのソフトであってもCEROの審査を受けずに発売に至るソフトも存在する。SteamやWindowsストア(2018年以降のXbox Games ストア含む)[注 12]で配信されているPCゲームにおいても、一部のソフトにCEROのレーティングが記載されているが、一部審査の信憑性に疑問があるもの[注 13]も存在する。


一部のゲームソフトの公式サイトにおいてCEROのレーティングが記載されていないもの[注 14]もあり、この場合オンライン上では、CEROが公式サイトに設置しているタイトル検索[32]か、ゲームハードメーカーによる商品情報ページ[注 15]からCEROのレーティングの情報を得る必要がある。



雑誌への掲載について


カプコンが開発・販売を手がけるモンスターハンターシリーズ[注 16]は、「C」に区分されているが、小学生を主な読者とするコミック誌である『月刊コロコロコミック』などで毎号のように取り上げられている。編集部は「レーティングは知っているが、読者からの要望もあり、独自の判断で取り上げている」としており、開発者は「小学生にもゲームを知ってほしいという気持ちはある」とした上で「レーティングはあくまで目安。法律の規制ではなく、問題はない」と述べている。それに対してある保護者は「小学生の購買意欲をあおっている」と批判した[33]

さらに2009年8月にはバンダイナムコゲームス(のちのバンダイナムコエンターテイメント)のDS用ソフト『アイドルマスター ディアリースターズ』が「C」区分であるが、女児を主な読者とするコミック誌『なかよし』や未就学児を主な読者とする『テレビマガジン』で取り上げられ、バンダイナムコ自ら本作を「女の子にもオススメの注目ゲーム」と宣伝するなど低年齢女児向けの販促を公然と行っていた。


任天堂もファミ通クロスレビューのメーカーアンケートにおいて、「B」・「C」区分のソフトに関しても「どなたでも楽しめる」旨を紹介している(『ファミ通』では「Z」区分のソフトも特集することはあるが、掲載時には「『ファミ通』の掲載基準に従い、考慮している」旨の断り書きを欄外に記載している)。任天堂も初の「D」区分のゲームソフト『斬撃のREGINLEIV』を発売するなど、レイティングに配慮したゲーム制作とは一線を画する動きを示してきている。

レイティング制度による影響


日本PTA全国協議会が2007年に一部の小中学生および保護者を対象に調査した「子どもとメディアに関する知識調査」によれば、レイティング制度を知らないという保護者が約52%に達している[34]

子供がこのレイティングを参考にゲームを購入しているかというと実はそうでもなく、コール オブ デューティシリーズのシリーズの一部やグランド・セフト・オートシリーズの全作品などは、Z区分になっているにもかかわらず、特に中高生の間で人気が高く、保有数も多く問題となっている。主に、持ち運べるPSPのソフトが多い。DSは「Z」区分のソフトが『グランド・セフト・オート・チャイナタウンウォーズ』1本しか存在しないため、そうはなっていない。

メーカー側からの意見


ゲームクリエイターの側から現行のレーティング制度に対する意見はあり、名越稔洋は『龍が如く』の制作にあたり、基準の曖昧さについて意見を出している[35]。シリーズ1作目は当初「18才以上対象」とされていたが、2006年3月以降の変更に伴い、1段階低い「D」に変更された。以降のシリーズ全タイトルも「D」に区分されている。また稲船敬二もカプコン在籍時に受けたインタビューの中でCEROの審査基準に対して同様の意見を出している[36]


桜井政博は『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』の制作の際、CEROの審査で登場キャラクターのスカートの中が見えて性的であるとの指摘を受け、何度もキャラクターを作りなおしたとしている。これについて桜井は「海外の審査で拳銃がダメというのは理解できるが、日本の審査はパンツが見えたの見えないってあまりにも低レベルでくだらない」と発言している[37]

欠損表現の修正

国産タイトルの一部には「C」・「D」区分であっても欠損や出血の表現が含まれているケースがあるのに対し、外国産タイトルの場合「Z」区分でも何らかの表現規制が行われることがある。たとえば国産タイトルのモンスターハンターシリーズ、『ゴッドイーター』や『斬撃のREGINLEIV』、『バイオハザード4』・『5』、『NINJA GAIDEN 2』では身体の切断による欠損や出血表現があるのに対し、外国産タイトルの『ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜』や『Borderlands』、『Gears of War』・『2』では欠損表現が削除されている(ただし、『Gears of War』シリーズでは爆発やチェーンソーでの欠損表現はそのままで、ムービーでは削除されていない)。

また、Z区分であっても国産・外国産を問わず欠損表現が削除されるケースがあり、『デッドライジング』と『Fallout 3』では欠損表現が削除されている。『CONAN』や『F.E.A.R.2』(PS3・Xbox 360版)のように、オリジナルから大幅に表現が変更されたソフトも存在する。

『ドラゴンボールZ 真武道会2』などドラゴンボールシリーズを題材とした作品で、片腕のキャラクターである未来世界の孫悟飯が両腕に修正されているのを過剰な自主規制と批判する意見もある。

外国製のタイトル(FPS、クライムアクションなど)の場合、前述の欠損表現の修正以外にも、一部のアクションができなくなるよう変更が加えられる場合もある(民間人への攻撃や、死体への追い討ちなど)。これらの規制が大幅なものに及んだ場合、マルチプレイ対応作品では日本国内限定でのマッチングを余儀なくされるケースもある。

Z指定ソフトの公式大会で15歳のプレイヤーが優勝

2017年10月9日にユービーアイソフトが開催したイベント「UBIDAY2017」にて、「Z」区分である『フォーオナー』の大会で15歳のプレイヤーが優勝した[38]。これを受けて大会を運営したJCGは年齢制限などのルール改定を行うと発表した[39]



脚注


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注釈





  1. ^ ゲームアーカイブスで配信されるソフトも含む。


  2. ^ バーチャルコンソールで配信されるソフトも含む。


  3. ^ Xbox Live インディーゲームは対象外となっている。


  4. ^ Windows・Mac OSなどの非アダルトゲームを含む。


  5. ^ Android、iPhone、Windows Phoneなど。2011年から審査の対象に追加している。


  6. ^ ただし、『マッドワールド』は後にスパイクが海外版の発売元であるセガに発売を提案、スパイクが日本版の発売を担当する形で日本国内でも発売された。


  7. ^ 任天堂はパソコン上でもニンテンドーeショップを利用可能になって以降これまでに発売されたものも含む3DS、WiiUソフト。ソニーおよびマイクロソフトは公式サイトにおける一部ゲームソフトの商品情報ページ内。


  8. ^ マイニンテンドーストア、イーカプコンの2サイト。


  9. ^ 当作以降コナミは一部ゲームソフトの公式サイトで行っていたコンテンツアイコンの併記をしていない。


  10. ^ 暴力、犯罪以外のコンテンツアイコンが表示されているソフトも含まれているため。CERO公式サイト内のタイトル検索ページではコンテンツアイコンは表示されていない。


  11. ^ XboxIndiesGamesについては例外で、複数のユーザによるレイティング判断により決定する


  12. ^ Windowsストアでは基本的に国際年齢評価連合(IARC)のレーティングが表記されている。


  13. ^ 2004年4月以降に発売されたゲームソフトでコンテンツアイコンの併記がない、併記されたコンテンツアイコンがCEROに存在しないまたは他国のレーティング機関のもの、暴力表現の低いソフトが「D」か「Z」に区分されている、開発・発売元メーカーによるゲームソフトの公式サイトにレーティングの記載がない、CERO公式サイト内のタイトル検索に情報が記載されていない、など。


  14. ^ 例として、任天堂は2008年8月までの『マリオカートWii』を除く「A」区分の自社ゲームソフトの公式サイトにCEROのレーティングの記載がされていなかった。2008年9月以降の一部自社ゲームソフトの公式サイトにもCEROのレーティングの記載がされていないものもある。


  15. ^ 任天堂は「Z」区分を除くGBA、DS、Wiiのサードパーティーソフトと自社ゲームソフトを含むWiiバーチャルコンソールの商品情報ページにCEROのレーティングの記載がされていない。


  16. ^ 番外作の『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』と『モンスターハンター ストーリーズ』は比較的抑え目な表現のため、「A」に区分されている。




出典





  1. ^ 北村孝和 (2002年6月7日). “CESA、ゲームソフトに年齢別レーティングを設定する独立機構「CERO」を設立”. Impress Watch. 2008年6月27日閲覧。[リンク切れ]

  2. ^ abcd進藤智則 (2002年7月29日). “ゲーム・ソフトの倫理自主規制「年齢別レーティング」,2002年10月から開始”. 日経テクノロジーオンライン. 2008年6月27日閲覧。[リンク切れ]

  3. ^ abc“インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会(配付資料3)”. 総務省 (2008年2月27日). 2008年6月27日閲覧。[リンク切れ]


  4. ^ “機構の概要”. コンピュータエンターテインメントレーティング機構. 2008年6月27日閲覧。


  5. ^ “年齢別レーティング制度とは? - 1. レーティングの適用範囲”. コンピュータエンターテインメントレーティング機構. 2008年6月27日閲覧。


  6. ^ “レーティングに関する最新情報”. コンピュータエンターテインメントトレーディング機構. 2008年6月27日閲覧。
    “CEROレーティングマークについて”. ソニーコンピュータ・エンタテインメント. 2008年6月27日閲覧。



  7. ^ “CEROのレーティング制度が3月1日をもって変更。18歳未満への販売禁止区分を新設”. 電撃オンライン (2006年2月17日). 2008年6月27日閲覧。


  8. ^ 石田賀津男 (2006年2月17日). “CESA、CEROレーティング制度を変更 18歳以上対象ソフトの販売を「自粛」から「禁止」へ”. Impress Watch. 2008年6月27日閲覧。[リンク切れ]


  9. ^ 「CERO年齢別レーティング制度」の第4回実態調査結果について コンピュータエンターテインメント協会[リンク切れ]


  10. ^ CERO倫理規定(別表3) (PDF)” (2008年4月24日). 2008年6月27日閲覧。


  11. ^ “【お知らせ】「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」海外版と国内版の仕様変更について”. カプコン (2007年1月19日). 2008年6月27日閲覧。[リンク切れ]


  12. ^ “12月4日発売予定のXbox 360用ソフト「Fallout 3」日本語版と北米版(オリジナル)の表現および内容の違いについて”. ベセスダ・ソフトワークス (2007年11月10日). 2008年11月12日閲覧。


  13. ^ “ジャストコーズ3「海外版との仕様の違いについて」”. スクウェア・エニックス (2015年11月10日). 2016年1月22日閲覧。


  14. ^ “Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」 第31回「Dead Space」”. GAME Watch (2008年11月5日). 2009年4月19日閲覧。
    “Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」 第41回「MadWorld」”. GAME Watch (2009年4月8日). 2009年4月19日閲覧。



  15. ^ 参考:“プラチナゲームズ『マッドワールド』インタビュー”. ファミ通.com (2008年5月23日). 2008年11月30日閲覧。 


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関連項目







  • ソフト一覧


    • CEROレーティング12才以上対象ソフトの一覧:B


    • CEROレーティング15才以上対象ソフトの一覧:C


    • CEROレーティング17才以上対象ソフトの一覧:D


    • CEROレーティング18才以上対象ソフトの一覧:旧規定


    • CEROレーティング18才以上のみ対象ソフトの一覧:Z

    • CEROレーティング教育・データベースソフトの一覧



  • 関連団体


    • コンピュータソフトウェア倫理機構 - 日本のアダルトゲームの審査団体


    • コンテンツ・ソフト協同組合 - 日本のアダルトゲーム及びアダルトビデオの審査団体


    • エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会 - アメリカのゲーム審査団体


    • 汎欧州ゲーム情報 - ヨーロッパのゲーム審査団体


    • フィルム・文献分類管理局 - オーストラリア及びニュージーランド政府の審査団体


    • ソフトウェア事前審査機構 - ドイツのゲーム審査団体


    • 全英映像等級審査機構 - イギリスのゲーム審査団体


    • ゲーム物等級委員会 - 韓国のゲーム審査団体


    • 国家通訊伝播委員会 - 台湾のゲームソフトレーティング管理法により、ゲーム審査団体として独立行政機構



  • その他

    • コンピュータゲームのレイティングシステム

    • ゲーム脳

    • 残酷ゲーム

    • 成人向けゲーム

    • 日本における検閲

    • レイティング

    • 表現の自主規制

    • 有害図書



  • 表記用テンプレート

    • {{CERO-A}} - CERO:A(全年齢対象)

    • {{CERO-B}} - CERO:B(12才以上対象)

    • {{CERO-C}} - CERO:C(15才以上対象)

    • {{CERO-D}} - CERO:D(17才以上対象)

    • {{CERO-Z}} - CERO:Z(18才以上のみ対象)

    • {{CERO-ED}} - CERO:教育・データベース
      • 審査予定・規定適合・旧区分のテンプレートは存在しない。






外部リンク


  • コンピュータエンターテインメントレーティング機構









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