レット・イット・ブリード





































レット・イット・ブリード

ローリング・ストーンズスタジオ・アルバム
リリース
1969年12月5日[1]
録音
1968年11月16日 - 17日,
1969年2月10日 - 11月2日
ジャンル
ロック
時間
42分21秒
レーベル
イギリスの旗 デッカ・レコード
アメリカ合衆国の旗 ロンドン・レコード[1]
プロデュース
ジミー・ミラー
専門評論家によるレビュー


  • AllMusic 星5 / 5


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ローリング・ストーンズ 年表






スルー・ザ・パスト・ダークリー (ビッグ・ヒッツ Vol.2)
(1969年)

レット・イット・ブリード
(1969年)

ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト
(1970年)

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レット・イット・ブリード』(Let It Bleed)は、1969年にリリースされたローリング・ストーンズのオリジナルアルバム。プロデューサーはジミー・ミラー、レコーディングエンジニアはグリン・ジョンズ。全英1位[2]、全米3位[3]を記録。




目次






  • 1 概要


  • 2 経緯


  • 3 評価


  • 4 収録曲


  • 5 参加ミュージシャン


  • 6 脚注





概要


前作『ベガーズ・バンケット』と共に彼らの最良のアルバムと称賛され、ロック・アルバムの古典の一つと見なされる。本作タイトル『レット・イット・ブリード』は、しばしばビートルズの『レット・イット・ビー』のパロディだとされるが、それは正確ではない(『レット・イット・ビー』のリリースは1970年5月)。本作の製作中にブライアン・ジョーンズが脱退、その直後、後任のギタリスト、ミック・テイラーが加入しており、本作はジョーンズが参加した最後のアルバムであると共に、ジョーンズとテイラーが参加した曲が同時に収められた唯一のオリジナルアルバムでもある。


本作の収録曲でジョーンズがギターを弾いた曲は1つもなく、またテイラーが参加したのは「カントリー・ホンク」と「リヴ・ウィズ・ミー」の2曲のみで、本作で聴けるギターは大半がキース・リチャーズによるものである。また、初めてリチャーズが単独でリードボーカルを担当した曲(「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」)も収録されている。本作に収められた楽曲は、歌詞の内容が戦争、レイプ、殺人、麻薬中毒といった荒涼としたものとなっているが、これについてミック・ジャガーは1995年のインタビューで「当時はすごく暴力的で荒々しい時代だったからね・・・ベトナム戦争だよ。テレビでもその映像が沢山映し出されてたしね」と説明している[4]


ジャケットのケーキは、著名な料理家であるデリア・スミスが制作した。また、本作には「このレコードは大音量で聴くべし(THIS RECORD SHOULD BE PLAYED LOUD)」というメッセージが大きく入れられている。レコードの内袋に格クレジットが記載されており、ステレオ盤は青、モノラル盤は赤で印刷されていた。また。ストーンズのスタジオアルバムでモノラル盤が製作されるのは、本作が最後となった。


2002年8月に、アブコ・レコードよりリマスターされた上で、SACDとのハイブリッドCDとしてデジパック仕様で再発された。2016年、デッカ時代のオリジナルアルバムのモノラル版を復刻したボックスセット『ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX』で、モノラル版が初めてCD化された[5]



経緯


本作の製作は1968年11月、ロンドン、オリンピック・スタジオでの「無情の世界」の録音から始まった[6]。この間、ジョーンズの最後のステージとなった「ロックンロール・サーカス」をはさみ、翌1969年2月から6月にかけて再びオリンピック・スタジオで録音を行った。だがこの頃になるとジョーンズはレコーディングに参加する事自体がほとんどなくなっていた[7]。本作に収録されたジョーンズが参加した曲は2曲のみで、その2曲とも重要なパートは任されていない。またこの間の5月28日に、ジャガーと恋人のマリアンヌ・フェイスフルが麻薬所持により逮捕されるという出来事もあった[8]


ジョーンズはこの年の5月にメンバーにストーンズ脱退の意向を打ち明けており、グループは話し合いの末、ジョン・メイオールから推薦された当時20歳のミック・テイラーを招へいし、レコーディングを続行した[9]。6月8日にジョーンズはストーンズを正式に脱退、その直後の7月3日に自宅のプールで溺死した。その後、ジョーンズの追悼ライブとなったハイドパーク・コンサートやジャガーの主演映画『太陽の果てに青春を』の撮影を挟んで、10月に再びハリウッドのワーナー・ブラザース・スタジオでレコーディングを行い、27日までに完成させた。一連のセッションでは、マリアンヌ・フェイスフルに提供した「シスター・モーフィン」(『スティッキー・フィンガーズ』収録)、また「ラヴィング・カップ」、「オール・ダウン・ザ・ライン」(共に1972年のアルバム『メイン・ストリートのならず者』収録)の初期バージョン、そして「ジャイビング・シスター・ファニー」、「アイム・ゴーイング・ダウン」(共に1975年の編集盤『メタモーフォシス』収録)も録音された。本作のレコーディングの間に、ジャガー、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツは、本作にゲスト参加したニッキー・ホプキンスやライ・クーダーと共にジャム・セッションを行っており、1972年にはその時の演奏を収録したアルバム『ジャミング・ウィズ・エドワード』が発売されている[10]


本作のリリースに伴い、グループとして2年ぶりの、そして6回目となる北米ツアーが1969年11月7日のコロラド州フォート・コリンズ公演から開始された[11]。本ツアーの最終公演、12月6日のカリフォルニア州オルタモント・スピードウェイでのフリーコンサートで、会場警備を担当したヘルズ・エンジェルスの手により、黒人青年メレディス・ハンターが刺殺された(オルタモントの悲劇)。これらの映像は映画『ギミー・シェルター』で公開された。また、11月9日のカリフォルニア州オークランド・コロシアム公演は『Liver Than You'll Ever Be』というブートレグとしてリリースされ、これが彼らの初のブートレグとなる。このブートレグが、公式ライヴ盤『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』のリリースを早めたとされる[12]



評価


イギリスではアフターマス以来3年ぶりに1位を獲得。アメリカでは3位とダブル・プラチナを獲得した[13]。セールス面のみならず各プレスからの評価も上々で、ニュー・ミュージカル・エクスプレス誌は「なんてすごいアルバムだろう」「各曲にバラエティがあり、何度でも聴き返したくなる」と賞賛している[14]


『これが最高!(Critic's Choice Top 200 Albums)』(1979年 クイックフォックス社)の英米編では8位、日本編では4位にランクされ、「Q」マガジンのグレーティスト・アルバム読者投票(1998年)では69位、ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500(2002年の大規模なアンケートで選出)では32位[15]、2003年にはTVネットワークのVH1がグレーティスト・アルバムで24位に選出した。



収録曲


A面



  1. ギミー・シェルター - Gimme Shelter - 4:31
    • 当時激化していたベトナム戦争に強い影響を受けた曲。オルタモントの悲劇を収めたドキュメンタリー映画のタイトルにも使用された。日本では1971年に独自にシングル・カットされた[16]



  2. むなしき愛 - Love in Vain (Robert Johnson) - 4:19

    • ロバート・ジョンソンのカヴァー。リリース当時は作曲クレジットが「トラディショナル」となっていたが後に修正された[13]



  3. カントリー・ホンク - Country Honk - 3:07
    • 先行シングル「ホンキー・トンク・ウィメン」をカントリーミュージック風にアレンジした別テイク盤。タイトルの「Honk(警笛)」にかけて、曲の冒頭と終わりに自動車のクラクション音が挿入されている。



  4. リヴ・ウィズ・ミー - Live With Me - 3:33


  5. レット・イット・ブリード - Let It Bleed - 5:28
    • アルバムタイトル曲。これも日本では独自にシングル・カットされた[16]



B面





  1. ミッドナイト・ランブラー - Midnight Rambler - 6:53
    • 映画『絞殺魔』のモデルにもなったボストン絞殺魔事件をヒントにした曲。ブライアン・ジョーンズを含めたオリジナルのメンバーのみで録音された最後の曲。コンサートでは頻繁に演奏されている。



  2. ユー・ガット・ザ・シルヴァー - You Got the Silver - 2:50
    • キース・リチャーズが初めて全編リードボーカルをとった曲。ジョーンズ最後の参加作品。



  3. モンキー・マン - Monkey Man - 4:11
    • タイトルはドラッグ・ジャンキーを意味している[13]



  4. 無情の世界 - You Can't Always Get What You Want - 7:29
    • シングル「ホンキー・トンク・ウィメン」のB面として初登場。シングルでは短縮されたバージョンだったが、ここではフルレングスで収録されている。本作中最初に録音された曲で、「ロックンロール・サーカス」でも披露されている。




参加ミュージシャン


※レコード/CD記載のクレジットに準拠


ローリング・ストーンズ




  • ミック・ジャガー - リードボーカル、ハーモニカ


  • キース・リチャーズ - ギター、バッキングボーカル、ベース(#4)、リードボーカル(#7)


  • ブライアン・ジョーンズ - パーカッション(#6)、オートハープ(#7)


  • ビル・ワイマン - ベース、オートハープ(#5)、ヴィブラフォン(#8)


  • チャーリー・ワッツ - ドラムス


  • ミック・テイラー - エレキギター(#3、#4)


ゲストミュージシャン




  • イアン・スチュワート - ピアノ(#5)


  • ニッキー・ホプキンス - ピアノ(#1、#4、#7、#8)、オルガン(#7)


  • ジミー・ミラー - パーカッション(#1)、タンブリン(#8)、ドラムス(#9)


  • メリー・クレイトン - リードボーカル(#1)


  • ライ・クーダー - マンドリン(#2)


  • バイロン・バーライン - フィドル(#3)


  • レオン・ラッセル - ピアノ、ホーン・アレンジ(#4)


  • ボビー・キーズ - サックス(#4)


  • アル・クーパー - ピアノ、オルガン、フレンチホルン(#9)


  • ロッキー・ディジョン - パーカッション(#9)


  • ジャック・ニッチェ - コーラス編曲(#9)


  • マドリーヌ・ベル、ドリス・トロイ、ナネット・ニューマン、ロンドン・バッハ合唱団 - コーラス(#9)



脚注




  1. ^ abRolling Stones* - Let It Bleed (Vinyl, LP, Album) at Discogs


  2. ^ STONES Official Charts Company:


  3. ^ The Rolling Stones | Awards | AllMusic:


  4. ^ SIGHT VOL.14 特集「ロックの正義!!ストーンズ全100ページ」(株式会社ロッキング・オン、2003年)56頁


  5. ^ THE ROLLING STONES | ザ・ローリング・ストーンズ - ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX (7インチ紙ジャケット仕様) - UNIVERSAL MUSIC JAPAN:


  6. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)177頁


  7. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)187頁


  8. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)189頁


  9. ^ 『ストーン・アローン/下』(ビル・ワイマン/レイ・コールマン著、野間けい子訳、ソニー・マガジンズ刊、1992年、ISBN 4-7897-0781-4)343-344頁


  10. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)196頁


  11. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)197頁


  12. ^ 『ローリングストーンズ/グッド・タイムズ・バッド・タイムズ』 (テリー・ロウリングス/アンドリュー・ネイル/キース・バッドマン著、筌尾正訳、シンコーミュージック刊、2000年、ISBN 978-4401616541)198頁

  13. ^ abc日本版リマスターCD(2002年)の越谷政義による解説より。


  14. ^ “Let It Bleed:” (英語). 2016年12月18日閲覧。


  15. ^ “Little Richard, 'Here's Little Richard'” (英語). 2016年12月18日閲覧。

  16. ^ abアーカイヴシリーズvol.4「ザ・ローリング・ストーンズ['69-'74]」(シンコー・ミュージック刊、2002年、ISBN 4-401-61774-6)116頁






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