フォード・クラウンビクトリア




クラウン ビクトリア (Crown Victoria)はフォードが製造・販売していた自動車である。




目次






  • 1 概要


  • 2 1955フォード


  • 3 LTD Crown Victoria


  • 4 初代(1992-1997年)


  • 5 2代目(1998-2012年)


    • 5.1 2008年-2011年 フリートセールス




  • 6 バージョン


    • 6.1 ポリスインターセプター (Police Interceptor) (1998–2012年)


    • 6.2 タクシー




  • 7 安全性問題


  • 8 脚注


  • 9 関連項目


  • 10 外部リンク





概要


車体サイズはアメリカ製セダンの中でも最大の部類のフルサイズに属する。オイルショック以降、キャデラックやクライスラーなどの競合車種の多くが、ダウンサイジングとFF化を敢行した中、フォードだけは、昔ながらのはしごフレームとFRレイアウトを固持した。このシャシはマーキュリー・グランドマーキー、リンカーン・タウンカーと共用のパンサープラットフォーム (Ford Panther platform) と呼ばれるもので、フォードのハイエンド車種で30年以上の長きにわたって使われ続けたが、技術的には決してハイエンドではなく、登場当時ですら旧態化のそしりは免れなかった。重量、ねじり剛性、振動・騒音など、操縦安定性と居住性のすべての面でモノコック構造に対して劣勢となるが、アメリカの保守層(米保険会社の調査では、共和党支持者とほぼ一致するとしている)には根強い人気があり、結果的として古き良き時代のアメリカ車の乗り味を後世に伝える存在となっていたほか、パトカー、タクシー、レンタカーといったフリートセールス需要が根強く[1]、パトカー用はエンジン出力を強化するなどしたPolice Interceptor(ポリスパッケージ)という専用グレードが存在する。


アメリカでは「Crown Vic (クラウン・ビック)」の愛称で親しまれている。日本のトヨタ・マークIIやトヨタ・クラウン、日産・グロリアや日産・セドリックに相当する車種。


2008年から2011年の最後の3年間はフリートセールスのみで、直系の後継モデルはないが、2007年の北米自動車ショーで発表されたリンカーン・MKSや、フォード・次世代ポリスインターセプターが実質的な後継車種になっている。



1955フォード




1955 Ford Crown Victoria



"クラウン ビクトリア (Crown Victoria)"の車名は1955年フェアレーンの1レンジとして登場した6人乗りの2ドアクーペが最初である。





LTD Crown Victoria



フォード・LTDの上級トリムとして名付けられた。





初代(1992-1997年)






















































クラウン ビクトリア

前期型

Ford-Crown-Vic.jpg

中期型

1993-1994 Ford Crown Victoria -- 01-28-2010.jpg

後期型

'95-'97 Ford Crown Victoria.jpg

販売期間
1992-1997年
乗車定員
5名
ボディタイプ
4ドアセダン
エンジン
4.6L V8
駆動方式
FR
変速機
4AT
全長
5,395mm(1992-1994)
5,385mm(1995-1997)
全幅
1,975mm
全高
1,440mm(1992-1994)
1,445mm(1995-1997)
ホイールベース
2,905mm
姉妹車
マーキュリー・グランドマーキー
リンカーン・タウンカー
先代
フォード・LTD
-自動車のスペック表-

フォード・LTDから完全に独立し、1991年に1992年モデルとして登場した。
フォード・トーラスやセーブルが大ヒットしたためLTDとは違い、丸みを帯びたエアロダイナミックなデザインへと変貌した。ただ、グリルレスは不評であったために1993年の中期型からはグリルが追加され、1995年の後期型からは新規グリルとリアコンビネーションランプが追加されナンバー取付位置もリアライトの中央に移動させた。





2代目(1998-2012年)






















































クラウン ビクトリア

Ford Crown Victoria LX.jpg

販売期間
1998-2012年
乗車定員
5名
ボディタイプ
4ドアセダン
エンジン
4.6L V8 SOHC
駆動方式
FR
変速機
4AT
全長
5,385mm
全幅
1,965mm
全高
1,445mm
ホイールベース
2,915mm
車両重量
1,840kg
姉妹車
マーキュリー・グランドマーキー
マーキュリー・マローダー
リンカーン・タウンカー
-自動車のスペック表-

1998年モデルとしてモデルチェンジ。1991-1996年までのシボレー・カプリスのようなラジカルなエアロルックを持った先代から、大きなヘッドライト、バンパー、グリルなど全く違うデザインとなった。これはボディをマーキュリー・グランドマーキーと共用化したことによるもの。これにより両車のデザイン差異は、先代と比較してかなり少なくなっている。



2008年-2011年 フリートセールス


フルサイズセダンを代表する車種として長く親しまれてきたクラウン ビクトリアであったが、2011年9月15日にカナダのセント・トーマス工場で最後の1台(サウジアラビア向け)が出荷され、生産終了となった。





バージョン



ポリスインターセプター (Police Interceptor) (1998–2012年)




Police Interceptor ワシントンD.C.首都警察仕様


パトカー用のグレード名は「ポリス インターセプター (Police Interceptor)」。商品コード「P71」。LTDクラウンビクトリアのパトカー仕様車を継ぐ形で1992年に初代が、1998年に外装や機関を手直しした2代目が発売された。P71はアメリカのパトカー市場において、およそ7割強の市場占有率を持つといわれている。アメリカの警察で好まれる後輪駆動のフルサイズセダンをベースにした車両として、今では貴重な存在となっているのが要因。


基本は単独グレードだが、最終減速比が3.27と3.55の2種類の設定がある。ベース車両からの変更点は補機類やサスペンションの信頼性が向上されたこと。また注文装備として防弾パネルを取り付けることができる。これは12ゲージ散弾や7.62mm NATO弾を食い止めることができ、価格は運転席側のみが$1200、前席左右ドアが$2400。後述する欠陥問題があったことから、この対策として燃料タンクを保護する防護材の取り付けを無料オプションとして設定した。また燃料タンク付近に自動消火装置をメーカーオプションとして設定。これは後部に強い衝撃をセンサーが感知すると、組み込まれた油火災対応型消火器が燃料タンク付近へ向けて噴射されるというもの。手動でも操作をすることが可能となっている。


2010年3月、フォード社はクラウンビクトリアに代わる3代目ポリスインターセプターを2011年に発売すると発表した。新型ポリスインターセプター・セダンはトーラスがベースで、またエクスプローラーがベースのポリスインターセプター・ユーティリティーも販売される。グレードは、セダンはV6自然吸気と前輪駆動又は四輪駆動の組み合わせ、及びV6直噴ターボと四輪駆動の組み合わせ。ユーティリティーはセダンと同じ自然吸気エンジンに、前輪駆動と四輪駆動のいずれかを組み合わせたもの。


アメリカのパトカーは耐用期限(または設定された使用期間、一般的には2年)が過ぎれば日本でのように解体されず民間に払い下げられ、中古車として市場に流通する。そのため、他の警察機関が購入して再びパトカーとして使うだけでなく、タクシーや自家用車として使われるものも多い。ゆえに「ポリスインターセプター」のバッヂがついているものの一般人が使用しているものも見かけられる。警光灯や無線機、通信端末などの装備品は放出品として外され、車体は警察機関を表すデカールが剥がされ再塗装されるが、日本で再びパトカー仕様に戻し(またはアメリカ国内には持ち込まないことを誓約した上でそのまま購入し)乗るファンがいる。よって、少数ではあるがポリスインターセプターも日本に輸入されている。



タクシー




ニューヨーク市のイエローキャブ


かつてはGMにも同クラスのFRフルサイズセダン「シボレー・カプリス」があったが、1996年に生産中止となって以来、アメリカのタクシー業界はクラウンビクトリアが主力車種である。現役を引退したパトカーの車両を使ったものが多い(フォードでは役目を終えたパトカーを回収し、タクシーとして再利用する独自のリサイクルシステムを導入している)。なお、フルサイズセダンは他にも各社で多数生産されていた(ダッジ・モナコなど)。また、映画「TAXI NY」でも使われていた。
2000年代後半以降、低燃費指向がアメリカでも高まったのもあり、フォード・エスケープハイブリッドや日本のトヨタ・プリウス、トヨタ・カムリハイブリッド等のハイブリッドカーが多数採用されていた。


2018年現在では、既に生産終了から7年経過しているのもあり、大分数を減らし、主力としては退いているものの、タクシーとしてまだまだ見かける存在である。
タクシーの使用車種に関して、細かい規定の存在するニューヨークでも、2012年から2014年前後にかけて、在庫販売が行われていたロングホイールベースの当車両を使用することでギリギリ規定を抜け出して、今現在でも営業しているドライバーが散見できる。また、フロリダ州等共和党支持が強く、古いタイプのアメ車が好まれる地域や地方でも数こそ減らしているが、他の地域よりも多く見かける存在でもある。





安全性問題


パトカーにも使用されているこの車を巡っては、カーチェイスや長時間の高速運転時に燃料タンクからの発火の恐れがあるとして、アメリカの地方警察がフォードに対し訴訟を起こした。


1996年から2001年のモデルにかけて使われたオールコンポジット・インテークマニホールドからクーラント漏れが発生するということで2005年に集団訴訟が起きている。



脚注


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  1. ^ [1]




関連項目







  • フォード・モーター

  • マーキュリー・グランドマーキー

  • リンカーン・タウンカー

  • TAXI NY



外部リンク


  • Ford Crown Victoria (U.S.A.):Commercial Version (includes long-wheelbase version)








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