ゲット・バック・セッション
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ゲット・バック・セッション (Get Back Session)とはアルバム制作風景を撮影するためビートルズが1969年1月に行ったセッション。トゥイッケナム・セッション-Twickenham Sessionとも呼ばれる[1]。「ビートルズの解散問題#「ゲット・バック・セッション」」の項も参照のこと。
目次
1 解説
1.1 "Get Back" 1969年5月28日盤
1.1.1 アナログA面
1.1.2 アナログB面
1.2 "Get Back" 1970年1月5日盤
1.2.1 アナログA面
1.2.2 アナログB面
2 脚注
3 関連項目
解説
崩壊しつつあるビートルズをまとめるためメンバーたるポール・マッカートニーが「原点に返ろう=Get back」というコンセプトで行った。そのため、デビュー当時のようにオーヴァー・ダビングを一切行わないアルバムを制作し、そのレコーディング風景を録画して映画にしようという試みが進められた。愛用しているアビー・ロード・スタジオではなく撮影しやすい映画「ヘルプ!4人はアイドル」などの撮影に使ったことがあるトゥイッケナム映画撮影所を使用することとなった。
1969年1月2日から同月16日まで、ビートルズと映画監督のマイケル・リンゼイ=ホッグはトゥイッケナム映画撮影所においてリハーサル・セッションと撮影を行った[2]。しかしメンバーには覇気がなく、特にポールとジョージは対立し、口論の光景は映画にまで記録されたばかりでなく、1月10日にはジョージがセッションを放棄し数日間戻らないという事件も起こっている。なおトゥイッケナム映画撮影所でのリハーサルは正式にレコーディングされたものはなく、ジョン・レノンの"Queen says 'No' pot-smoking FBI members."という語りのみアルバム『レット・イット・ビー』に採用された(発売されずに終わったアルバム"Get Back"にはトゥイッケナム映画撮影所におけるリハーサル・セッションのテイクは一切採用されなかった)[3]。
1月20日メンバー4人はサヴィル・ロウのアップル・コア本社に場所を移し、その地下にあるスタジオにおいて正式なレコーディングにとりかかる[4](ただし、20、21日の2日間は録音機材の不調からリハーサルのみでレコーディングは行われなかった)。22日からセッションにバンド内の緊張状態を和らげるため、ジョージの発案でキーボーディストで旧友のビリー・プレストンが参加した[5]。一時的に5人編成となったビートルズは、スタンダード・ナンバーや自身のデビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥ」の即興演奏などを行いつつ、新曲のリハーサルを進めた。
1月30日、ビートルズにビリーを加えた5人はアップル本社ビルの屋上に上り、2年5ヶ月ぶりのライヴ・パフォーマンスを行う。これは映画のラストを飾るために企画されたもので、後に「ルーフトップ・コンサート」として知られることになる。
翌31日にはスタジオ・ライヴが行われ「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」や「レット・イット・ビー」がレコーディングされた。しかし、この日を最後にアップル本社でのアルバム制作および映画撮影は打ち切られた。
2月22日にはトライデント・スタジオで新たなセッションが始められ、7月1日からは本格的に新アルバム(後に『アビイ・ロード』と題される)のレコーディングに取りかかる。なお、その間の4月11日にはゲット・バック・セッションから初めての収獲となるシングル「ゲット・バック」がリリースされている。
3月、ビートルズの要請によりエンジニアのグリン・ジョンズがゲット・バック・セッションの内容をアルバムにまとめる作業を開始する。これは5月28日に一通り完了し、アルバム・ジャケットのデザインがなされ[6]、テスト盤も制作されたが、リリースには至らなかった。
12月、ビートルズはジョンズに再編集を指示し、映画の内容に沿ったサウンドトラックを作ることを要請した。そのため、セッションの終了から1年近く経った1970年1月3日にアビー・ロード第2スタジオで「アイ・ミー・マイン」が追加録音された[7]。ただし、このセッションにジョン・レノンは参加していない。1月4日には「レット・イット・ビー」にさらなるオーヴァー・ダビング(マラカスやリード・ギター、ブラス、弦[8]など)が行われたが、このテイクは採用されなかった。1月5日にグリン・ジョンズはポールの「テディ・ボーイ」は曲目から外し、ゲット・バック・セッションでは録音されなかった「アクロス・ザ・ユニヴァース」を加え編集作業を終えたが、この新盤"Get Back"も結局はお蔵入りとなってしまった。なお、新盤完成後の1月8日にジョージが単独でスタジオ入りし「フォー・ユー・ブルー」のリード・ヴォーカルをレコーディングし直している。
ゲット・バック・セッションのテープはアメリカ人プロデューサーのフィル・スペクターへ3月23日に委託。スペクターはオーヴァー・ダビングするなどして音源を編集。ビートルズが事実上解散した4月10日(金)の約1ヶ月後(5月8日)にビートルズ13枚目のアルバム『レット・イット・ビー』を発売。続いて5月20日に映画「レット・イット・ビー」が劇場公開された。
グリン・ジョンズによるゲット・バック・セッションの編集盤は、いずれも公式発売されなかったが、試作盤などを基にした海賊盤が多く出回った。
"Get Back" 1969年5月28日盤
アナログA面
ワン・アフター・909 - One After 909
- 1969年1月30日録音
- 『レット・イット・ビー』のものとは同じテイクである。
ロッカー - Rocker
- 1969年1月22日録音
- インストゥルメンタル・ナンバー。
ラストダンスは私に〜ドント・レット・ミー・ダウン - Save the Last Dance for Me〜Don't Let Me Down
- 1969年1月22日録音
- 本アルバムでは「ラストダンスは私に」は「マギー・メイ」とともに非オリジナル曲。ドリフターズの曲である[9]。
ドント・レット・ミー・ダウン - Don't Let Me Down
- 1969年1月22日録音
- シングル盤とは別テイク。
ディグ・ア・ポニー - Dig a Ponny
- 1969年1月24日録音
- 『レット・イット・ビー』のものとは別テイク。
アイヴ・ガッタ・フィーリング - I've Got a Feeling
- 1969年1月24日録音
- 『レット・イット・ビー』のものとは別テイクであり、『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されたものと同じである。
ゲット・バック - Get Back
- 1969年1月28日録音
- シングル盤と同じテイクであり、同じミキシングである。
アナログB面
フォー・ユー・ブルー - For You Blue
- 1969年1月25日録音
- 『レット・イット・ビー』のものとはベース・トラックは同じであるが、『レット・イット・ビー』のものは1970年1月8日にヴォーカルを録音し直し、オーヴァー・ダビングしたものである。なお『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されたものとは同じ日の録音であるが別テイクである。
テディ・ボーイ - Teddy Boy
- 1969年1月24日録音
トゥ・オブ・アス - Two of Us
- 1969年1月24日録音
- 『レット・イット・ビー』のものとは別テイクであり、また『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されたものとは同じ日の録音であるが別テイクである。
マギー・メイ - Maggie Mae
- 1969年1月24日録音
- 『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるがフェード・アウトする。
ディグ・イット - Dig It
- 1969年1月26日録音
- 『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるが長い。
レット・イット・ビー - Let It Be
- 1969年1月31日、4月30日録音
- シングル盤とは同じテイクであるがオーケストラはフィーチャーされていない。オーケストラがオーヴァー・ダビングされたのは前述の通り1970年1月4日のセッションである。
ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード - The Long and Winding Road
- 1969年1月31日録音
- 『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されたものと同じ。『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるがオーケストラはフィーチャーされていない。
ゲット・バック(リプライズ) - Get Back (Reprise)
- 1969年1月28日録音
- シングル盤と同じテイクのフェード・アウト後の部分。
"Get Back" 1970年1月5日盤
アナログA面
- ワン・アフター・909 - One After 909
- 1969年1月30日録音
- ロッカー - Rocker
- 1969年1月22日録音
- ラストダンスは私に〜ドント・レット・ミー・ダウン - Save the Last Dance for Me〜Don't Let Me Down
- 1969年1月22日録音
- ドント・レット・ミー・ダウン - Don't Let Me Down
- 1969年1月22日録音
- ディグ・ア・ポニー - Dig a Ponny
- 1969年1月24日録音
- アイヴ・ガッタ・フィーリング - I've Got a Feeling
- 1969年1月24日録音
- ゲット・バック - Get Back
- 1969年1月28日録音
- レット・イット・ビー - Let It Be
- 1969年1月31日、4月30日録音
- シングル盤とは同じテイクであるが、オーケストラはフィーチャーされていない。オーケストラがオーヴァー・ダビングされたのは、前述の通り1970年1月4日のセッションであり、本アルバムを制作した時期には既にオーケストラ・パートは収録可能ではあったが、グリン・ジョンズはオーヴァー・ダビングしなかった。
アナログB面
- フォー・ユー・ブルー - For You Blue
- 1969年1月25日録音
- トゥ・オブ・アス - Two of Us
- 1969年1月24日録音
- マギー・メイ - Maggie Mae
- 1969年1月24日録音
- ディグ・イット - Dig It
- 1969年1月26日録音
- ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード - The Long and Winding Road
- 1969年1月31日録音
アイ・ミー・マイン - I Me Mine
- 1970年1月3日録音
- 『レット・イット・ビー』とは同じテイクであるが、一部繰り返しがなくオーケストラはフィーチャーされていない。
アクロス・ザ・ユニヴァース - Across the Universe
- 1968年2月4日 - 8日録音
- ゲット・バック(リプライズ) - Get Back (Reprise)
- 1969年1月28日録音
脚注
^ ただし、トゥイッケナム映画撮影所でのリハーサルは正式録音されたものはなく、このセッションからはジョンの"Queen says 'No' pot-smoking FBI members."という語りのみがアルバム『レット・イット・ビー』に採用された。また発売されなかったアルバム『ゲット・バック』には一切採用されていない。
^ このリハーサルの模様は映画『レット・イット・ビー』に一部採用されている。
^ 出典:マーク・ルーイスン著「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版」(2009年 シンコーミュージック・エンタテイメント)269、322頁。
^ 20 Things You Need To Know About The Beatles’ Rooftop Concert Mojo 2014年1月30日
^ 『ビートルズと60年代』p.384
^ 『プリーズ・プリーズ・ミー』のジャケットを真似たデザインが企画され、同ジャケットの写真を撮ったフォトグラファー、アンガス・マクビーンを起用して写真が撮られたが、この写真はのちに『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』のジャケットに用いられた。
^ トゥイッケナム映画撮影所でのリハーサル・セッションで「アイ・ミー・マイン」が演奏され、曲に合わせてジョンがヨーコとワルツを踊っているシーンが映画『レット・イット・ビー』に含まれていたが、同曲は正式なレコーディングが行われていなかった。また、この日のセッションでもオリジナル・コンセプトに反しオーヴァー・ダビングがなされている。
^ ブラス・弦のアレンジはジョージ・マーティンによるものであり、のちのフィル・スペクターの再制作に際して加えられたものではない。
^ 日本では越路吹雪らのカヴァーで知られる。
関連項目
- レット・イット・ビー
- ルーフトップ・コンサート
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