警視庁 (内務省)







鍛冶橋第一次庁舎(旧津山藩江戸藩邸)。1874年(明治7年)1月15日から1882年(明治15年)12月4日まで使用。





1877年(明治10年)1月11日から1881年(明治14年)1月14日まで、内務省警視局「東京警視本署」に改編された。庁舎はそのまま使用。




鍛冶橋第二次庁舎。1882年(明治15年)12月4日から1911年(明治44年)3月30日まで使用。




日比谷赤煉瓦庁舎。1911年(明治44年)3月30日から1923年(大正12年)9月1日まで使用。





関東大震災による火災で炎上する日比谷赤煉瓦庁舎。1923年(大正12年)9月1日。




関東大震災後の仮庁舎。1930年(昭和5年)。





昭和前期の庁舎


警視庁(けいしちょう)は、1874年(明治7年)から1947年(昭和22年)まで存在した東京府(後に東京都)の警察を管轄する内務省の地方官庁である。自治体警察になる前の「東京警視庁」とも呼ばれた組織である。




目次






  • 1 概要


  • 2 東京警視本署


  • 3 警視総監の地位


  • 4 歴代警視総監


  • 5 沿革


  • 6 組織


  • 7 警察署


  • 8 主な事件


  • 9 参考文献


  • 10 関連項目





概要


1874年(明治7年)1月15日、鍛冶橋内旧津山藩江戸藩邸に設置され、旧薩摩藩士の川路利良が初代大警視(後の警視総監)に任じられた。


警視長 - 三等、以下、大警視 - 五等、権大警視 - 七等、少警視 - 八等、権少警視 - 九等、権大警部 - 十等、中警部 - 十一等、権中警部 - 十二等、少警部 - 十三等、権少警部 - 十四等、などの官等と職制、事務年程が制定された。


府内を6大区に、各大区を16小区に分け、大区に警視出張所を、小区に邏卒屯所を配置した。2月2日に邏卒を「巡査」と改称した。


東京以外の府県警察部は知事が管轄していたが、東京に関しては内務省が直接警視庁を置き統制下においた。当時の東京府は予算以外に警察に関する権限がなかった。


1948年(昭和23年)に内務省の地方官庁としての警視庁は廃止され、警視庁は国家地方警察東京都本部と東京23区を管轄する警視庁などの自治体警察に解体・廃止された。



東京警視本署


警視庁発足時から各地で士族反乱が発生し、地方の警察力では対処できなかった。政府は全国の警察を一元化するため、1877年(明治10年)1月11日に警視庁を廃止し、内務省直轄の東京警視本署へと改編した。(庁舎はそのまま使用された)


川路利良大警視は内務省に対し兵器の貯蔵を上申し、東京警視本署は陸軍省から7000挺の小銃を借用して、陸軍士官の派遣を受け、軍事訓練を行った。1877年(明治10年)、最大の士族反乱となった西南戦争に警視隊(9500名)を編成して従軍し、陸軍を支援した。


西南戦争終戦後、国内の治安が安定すると、武断的な警察に批判が高まり、1881年(明治14年)1月14日に警視庁が再設置され、本来の警察業務に戻った。



警視総監の地位


警視総監は東京府知事と同じ勅任官であったが、俸給は府知事よりも多く(内務次官、陸海軍中将と同額)、警視総監の方が格上とみなされていた。後に東京都制が施行され、親任官の東京都長官(俸給は国務大臣相当の待遇であり、また、昭和20年8月23日の閣議了解で、必要に応じ閣議への参加も認められた)が置かれたことで逆転した。


また、警視総監は府県知事の「府県令」と同様の「警視庁令」という命令を発することができた。



歴代警視総監



  1. 川路利良

  2. 大山巌

  3. 樺山資紀

  4. 大迫貞清

  5. 三島通庸

  6. 折田平内

  7. 田中光顕

  8. 園田安賢

  9. 山田為暄

  10. 園田安賢(再任)

  11. 西山志澄

  12. 大浦兼武

  13. 安楽兼道

  14. 大浦兼武(再任)

  15. 安立綱之

  16. 関清英

  17. 安楽兼道(再任)

  18. 亀井英三郎

  19. 安楽兼道(再任)

  20. 川上親晴

  21. 安楽兼道(再任)

  22. 伊沢多喜男

  23. 西久保弘道

  24. 岡田文次

  25. 岡喜七郎

  26. 堀田貢

  27. 赤池濃

  28. 湯淺倉平

  29. 赤池濃(再任)

  30. 太田政弘

  31. 宮田光雄

  32. 長岡隆一郎

  33. 丸山鶴吉

  34. 高橋守雄

  35. 長延連

  36. 長谷川久一

  37. 大野緑一郎

  38. 藤沼庄平

  39. 小栗一雄

  40. 石田馨

  41. 早川三郎

  42. 横山助成

  43. 斎藤樹

  44. 安倍源基

  45. 萱場軍蔵

  46. 池田清

  47. 安倍源基(再任)

  48. 山崎巌

  49. 留岡幸男

  50. 吉永時次

  51. 薄田美朝

  52. 坂信彌

  53. 町村金五

  54. 坂信彌(再任)

  55. 高野源進

  56. 藤沼庄平(再任)

  57. 鈴木幹雄

  58. 廣岡謙二

  59. 門叶宗雄

  60. 齋藤昇



沿革




  • 1874年(明治7年)1月15日 東京警視庁を設置(太政官達6号)。


  • 1877年(明治10年)1月11日 東京警視庁が廃止され、内務省に警視局を設置(太政官布告4号、太政官達15号、内務省達)。27日 東京警視本署を設置(警視局布達甲3号)。

  • 1877年(明治10年)3月 警視隊抜刀隊を編成、西南戦争に従軍。


  • 1881年(明治14年)1月14日 警視庁を再設置(太政官達1号)、内務省警視局は警保局に改称(太政官達2号)。


  • 1882年(明治15年)12月4日 洋風ペンキ塗庁舎が竣工(のち東京駅建設のために有楽町一丁目(帝国劇場横壕端。現在のDNタワー21所在地)に移転)。


  • 1921年(大正10年)6月 刑事部を設置。


  • 1923年(大正12年)9月1日 関東大震災による火災で庁舎を焼失。残った外郭は後に発破解体される。


  • 1931年(昭和6年)8月 霞ヶ関に新庁舎(6階建近世式、建坪9761)竣工。


  • 1932年(昭和7年)6月 特別高等警察部を設置。


  • 1933年(昭和8年)10月 警務部に特別警備隊を設置。


  • 1941年(昭和16年)2月 経済警察部を設置。


  • 1944年(昭和19年)4月 特別警備隊を廃止し、警備隊を設置。


  • 1945年(昭和20年)10月 特別高等警察部を廃止。


  • 1945年(昭和20年)12月 経済警察部を廃止。


  • 1946年(昭和21年)1月 警備隊を廃止。


  • 1947年(昭和22年)1月 皇宮警察部を設置。



組織





武術世話掛。1888年(明治21年)頃




検閲課による検閲の様子。1938年(昭和13年)




消防課の救急車(戦前)


1935年(昭和10年)時点



  • 総監官房
    • 情報課、会計課、文書課



  • 警務部
    • 警務課、警衛課、特別警備隊



  • 特別高等警察部

    • 外事課、労働課、特別高等課、内鮮課、検閲課、調停課



  • 刑事部
    • 捜査第一課、捜査第二課、庶務課、鑑識課、家出人収容所


  • 保安部
    • 健康保険課、工場課、交通課、保安課、建築課


  • 衛生部
    • 獣医課、防疫課、医務課、衛生検査所、衛生課



  • 消防部
    • 監察課、消防課




警察署


1927年(昭和2年)時点




  • 麹町麹町警察署

  • 麹町日比谷警察署

  • 神田西神田警察署

  • 神田外神田警察署

  • 日本橋久松警察署

  • 日本橋堀留警察署

  • 日本橋新場橋警察署

  • 京橋築地警察署

  • 京橋北紺屋警察署

  • 京橋月島警察署

  • 芝愛宕警察署

  • 芝三田警察署

  • 芝高輪警察署

  • 麻布鳥居坂警察署

  • 麻布六本木警察署

  • 赤坂表町警察署

  • 赤坂青山警察署

  • 四谷警察署

  • 牛込神楽坂警察署





  • 牛込早稲田警察署

  • 小石川富坂警察署

  • 小石川大塚警察署

  • 本郷本富士警察署

  • 本郷駒込警察署

  • 下谷上野警察署

  • 下谷坂本警察署

  • 下谷谷中警察署

  • 浅草象潟警察署

  • 浅草日本堤警察署

  • 浅草南元町警察署

  • 浅草七軒町警察署

  • 本所相生警察署

  • 本所太平警察署

  • 本所原庭警察署

  • 本所向島警察署

  • 深川西平野警察署

  • 深川扇橋警察署

  • 深川洲崎警察署





  • 東京水上警察署

  • 品川警察署

  • 大崎警察署

  • 大森警察署

  • 蒲田警察署

  • 世田谷警察署

  • 目黒警察署

  • 淀橋警察署

  • 千駄ヶ谷警察署

  • 世々幡警察署

  • 戸塚警察署

  • 中野警察署

  • 杉並警察署

  • 渋谷警察署

  • 巣鴨警察署

  • 池袋警察署

  • 高田警察署

  • 滝野川警察署

  • 王子警察署





  • 尾久警察署

  • 板橋警察署

  • 南千住警察署

  • 日暮里警察署

  • 千住警察署

  • 寺島警察署

  • 亀有警察署

  • 亀戸警察署

  • 小松川警察署

  • 八王子警察署

  • 町田警察署

  • 府中警察署

  • 田無警察署

  • 青梅警察署

  • 五日市警察署

  • 大島警察署

  • 新島警察署

  • 八丈島警察署

  • 小笠原島警察署





主な事件



  • 日比谷焼打事件

  • 亀戸警察官電殺事件

  • 東京・柳島自転車商一家殺人事件

  • 李王世子暗殺未遂事件

  • 閔元植暗殺事件

  • 東京市電運転手連続殺傷事件

  • 亀戸事件

  • 甘粕事件

  • 虎ノ門事件

  • 向島連続少女殺人事件

  • 京成電車疑獄事件

  • 荏原警察署巡査殺害事件

  • 血盟団事件

  • 赤色ギャング事件

  • 玉の井バラバラ殺人事件

  • 五・一五事件

  • 阿部定事件

  • 多摩川流域軍需品窃盗団事件

  • 首相官邸デモ事件

  • プラカード事件

  • 帝銀事件

  • 富坂警察署襲撃事件



参考文献



  • 『警視庁史 明治編』、警視庁史編さん委員会

  • 『警視庁史 大正編』、警視庁史編さん委員会

  • 『警視庁史 昭和前編』、警視庁史編さん委員会



関連項目







  • 警視庁

  • 日本の警察

  • 日本の消防

  • 弥生慰霊堂

  • 警視庁武術世話掛

  • 警視庁の三郎三傑

  • 日本における検閲





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