眉村卓
眉村 卓 | |
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誕生 | 村上 卓児 1934年10月20日 大阪府大阪市西成区 |
職業 | 小説家 |
国籍 | 日本 |
教育 | 学士(経済学) |
最終学歴 | 大阪大学経済学部卒業 |
活動期間 | 1960年 - |
ジャンル | SF |
文学活動 | インサイダー文学論 創作集団プロミネンス |
代表作 | 『司政官シリーズ』 『なぞの転校生』 『ねらわれた学園』 『迷宮物語』 『時空の旅人』 『僕と妻の1778の物語』 |
主な受賞歴 | 空想科学小説コンテスト佳作(1961年) 泉鏡花文学賞(1979年) 星雲賞(1979年) 日本文芸大賞(1987年) 星雲賞(1996年) |
デビュー作 | 『下級アイディアマン』 |
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眉村 卓(まゆむら たく、本名:村上 卓児(むらかみ たくじ)、1934年10月20日 - )は、日本のSF作家。代表作「司政官シリーズ」で1979年に泉鏡花文学賞を、同年と1996年に星雲賞日本長編部門を受賞している。[1]
目次
1 経歴
1.1 句作
2 作品
2.1 小説
2.1.1 1960年代
2.1.2 1970年代
2.1.3 1980年代
2.1.4 1990年代
2.1.5 2000年代
2.2 エッセイ
2.3 句集
2.4 翻訳
2.5 テレビドラマ化された作品
2.6 映画化された作品
2.6.1 アニメ映画化された作品
3 脚注
4 関連項目
5 外部リンク
経歴
1934年に大阪府大阪市西成区で生まれる。大阪府立住吉高校を経て1957年大阪大学経済学部卒業後、大阪窯業耐火煉瓦株式会社(のちの株式会社ヨータイ)に入社、日生工場(現岡山県備前市日生町)転勤[2]。1958年に大阪窯業耐火煉瓦を退社、株式会社大広の嘱託コピーライターとなる一方で、1960年からSF同人誌『宇宙塵』に参加する。1961年に「下級アイディアマン」が第1回空想科学小説コンテスト(のちのハヤカワ・SFコンテスト)に佳作入選しデビューする[3]。
1963年には大広を辞め、初めての単行本である処女長編『燃える傾斜』を発表、専業作家としての活動を開始する。1979年には、『消滅の光輪』にて第7回泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞した。1987年に『夕焼けの回転木馬』で第7回日本文芸大賞を受賞し、1996年には『引き潮のとき』で2度目となる星雲賞を受賞した。インサイダー文学論を提唱し[3]、組織と個人の葛藤を作品のテーマとしている。また多数の短編SFやエッセイ、ジュブナイル小説を執筆した。作家活動以外ではラジオパーソナリティも務めた[3](『チャチャヤング』(毎日放送)、『男のポケット』(FM大阪))。
ジュブナイル小説の代表作にはNHK『少年ドラマシリーズ』などでテレビドラマ化された『なぞの転校生』、『ねらわれた学園』などがある。ジュブナイル小説の多くが絶版となったが、2003年から講談社の青い鳥文庫から4冊が復刻されている。
また、福島正実が創設した作家、翻訳家、画家等の集団「少年文芸作家クラブ」(のち「創作集団プロミネンス」)にも参加した。「覆面座談会事件」で福島と仲たがいした他のSF作家たちが会から脱会したのちも、光瀬龍とともに会に残った。また、1974年には福島と長編『飢餓列島』を共作している[4]。
2008年現在、大阪芸術大学大学院の芸術研究科教授[5]、平安女学院大学文化創造センター客員教授を務めている。
2009年11月に、癌で2002年に死去した妻・悦子に日々、自作のショート・ショートを捧げた実話をもとにした、映画『僕と妻の1778の物語』が製作発表され、東宝配給で2011年1月に公開された。2012年6月には「笑うは薬」堀内孝雄歌唱でエピソードがCD化された。
2012年より、泉大津市オリアム随筆賞の選考委員に就任した。2013年、他のベテラン作家とともに、日本SF作家クラブの名誉会員に[6]。
句作
眉村は高校時代に俳句部に所属し、水原秋桜子主宰の「馬酔木」に投句するなどしていた。作家としてデビューした昭和40年代には、毎日新聞の記者をしていた赤尾兜子とパーティで知り合い、これをきっかけにして兜子の主宰誌「渦」の同人となっている。当時眉村は俳句の中にSF的な感覚を盛り込むことを試みていたが、逆に兜子から、小説の文章が俳句的で読者に伝わらないという指摘を受け、以後小説の書き方を変えたという。兜子の死後は多忙もあってしばらく句作から離れたが、上述の妻の死以降、ショート・ショートと平行してふたたび句作に取り組むようになり、「渦」にも復帰、2009年には最初の句集『霧を行く』を出版している[7]。
作品
小説
原則として初版出版。多くが後に文庫化された。短編集は収録作品を変更して発行されていることが多い。
1960年代
- 燃える傾斜(1963年)東都書房 のちハヤカワ文庫、角川文庫、ハルキ文庫
- 準B級市民(1965年)ハヤカワSFシリーズ
- 幻影の構成(1966年)早川書房・日本SFシリーズ のち文庫、角川文庫、ハルキ文庫
- 万国博がやってくる(1968年)ハヤカワSFシリーズ
- EXPO'87(1968年)早川書房・日本SFシリーズ /(1973年)ハヤカワ文庫、角川文庫
- 天才はつくられる 秋元書房、1968 のち文庫、角川文庫
- わがセクソイド(1969年)立風書房 のち角川文庫
- テキュニット(1969年)三一書房
- ながいながい午睡 三一書房、1969
- 虹は消えた(1969年)ハヤカワSFシリーズ
1970年代
- 地球への遠い道 毎日新聞社、1970 のち角川文庫、秋元文庫
まぼろしのペンフレンド 岩崎書店、1970 のち角川文庫、青い鳥文庫- 時のオデュセウス(1971年)ハヤカワSFシリーズ
- C席の客 ビジネスショートショート(1971年)日本経済新聞社/(1973年)角川文庫
なぞの転校生 鶴書房盛光社、1972 のち角川文庫、秋元文庫、青い鳥文庫- かれらの中の海(1973年)早川書房 のち講談社文庫
- 重力地獄 ハヤカワ文庫、1973 のち角川文庫
- 飢餓列島 福島正実共著 角川書店 1974 のち文庫
- サロンは終わった(1974年)ハヤカワ文庫JA(再構成短編集)
- ぼくの砂時計 ショートショート 講談社 1974 のち文庫
- 司政官 早川書房 1974 のち文庫、創元SF文庫
- 産業士官候補生 ハヤカワ文庫、1974 のち角川文庫 「EXPO'87」のスピンオフ作品
- ねじれた町(すばる書房盛光社 1974年 のち秋元文庫、角川文庫、ハルキ文庫、青い鳥文庫
- 二十四時間の侵入者 秋元文庫、1974 のち角川文庫
- あの真珠色の朝を… 角川文庫、1974
- 変な男 文化出版局 1975 のち角川文庫
- 奇妙な妻 1975 (ハヤカワ文庫) のち角川文庫
- 還らざる城 1975 (旺文社ノベルス) のち文庫
- 地獄の才能 1975 (秋元文庫) のち角川文庫、ぶんか社文庫
- ワルのり旅行 1975 (角川文庫)
- 還らざる空 1975 (ハヤカワ文庫)
ねらわれた学園 1976 (角川文庫) のち青い鳥文庫- 出たとこまかせON AIR SFジョッキー 立風書房 1976 のち角川文庫
- 鳴りやすい鍵束 徳間書店 1976 のち文庫
- 異郷変化 1976.12 (角川文庫)
- 深夜放送のハプニング 1977.2 (秋元文庫) のち角川文庫
- 泣いたら死がくる 1977.4 (秋元文庫) のち角川文庫
- 通りすぎた奴 立風書房 1977.5 のち角川文庫
- 思いあがりの夏 1977.6 (角川文庫) 『幕末未来人』『幕末高校生』原作『名残の雪』を含む
- 影の影 1977.8 (ハヤカワ文庫)
- 猛烈教師 三省堂 1977.9 (三省堂らいぶらりい SF傑作短編集)
- 枯れた時間 1977.10 (ハヤカワ文庫)
- 閉ざされた時間割 1977.10 (角川文庫) のちハルキ文庫
- 白い小箱 実業之日本社 1977.11 のち角川文庫
- ぎやまんと機械 PHP研究所 1977.12 のち角川文庫
- ぬばたまの… 講談社 1978.3 のち文庫
- 白い不等式 1978.6 (秋元文庫) のち角川文庫
- 六枚の切符 講談社 1978.6 のち文庫
- 消滅の光輪 早川書房 1979.4 のち文庫、ハルキ文庫
- 午後の楽隊 講談社 1979.4 のち集英社文庫
- 滅びざるもの 徳間書店 1979.6 のち文庫
- かなたへの旅 1979.10 (集英社文庫)
- おしゃべり迷路 角川書店 1979.11 のち文庫
1980年代
- つくられた明日 1980.1 (角川文庫) のち秋元文庫
- 月光のさす場所 角川書店 1980.3 のち文庫
- 一分間だけ ショート・ショート 1980.4 (角川文庫) のち秋元文庫
- ぼくたちのポケット 1980.11 (角川文庫)
- 長い暁 早川書房 1980.11 のち文庫
- 二次会のあと 講談社 1981.1 のち文庫
- 幻の季節 主婦の友社 1981.5 のちケイブンシャ文庫
- 遥かに照らせ 徳間書店 1981.5 のち文庫
- とらえられたスクールバス 1981-1983 (角川文庫) 改題「時空の旅人」ハルキ文庫
- モーレツ教師 1981.6 (角川文庫)
- おしゃべり各駅停車 角川書店 1981.7 のち文庫
- 傾いた地平線 角川書店 1981.9
- 疲れた社員たち 実業之日本社 1982.3
- 黄色い夢、青い夢 1982.7 (集英社文庫)
- ポケットのABC ショート・ショート 1982.10 (角川文庫)
- ポケットのXYZ ショート・ショート 1982.10 (角川文庫)
- 逃げ姫 1983.4 (集英社文庫コバルト)
- 不器用な戦士たち 講談社 1983.12 のち文庫
- ふつうの家族 ショート・ショート 1984.2 (角川文庫)
- 孔雀の街 1984.5 (集英社文庫コバルト)
- ぼくらのロボット物語 岩崎書店 1985.1 (あたらしいSF童話)
- 最後のポケット 1985.6 (角川文庫)
- 月光の底 1985.12 (集英社文庫コバルト)
- それぞれの曲り角 1986.2 (角川文庫)
- 夕焼けの回転木馬 1986.4 (角川文庫)
迷宮物語 1986.8 (角川文庫)- 侵入を阻止せよ 1986.12 (集英社文庫コバルト)
- 職場、好きですか? 26のオフィス・ショートショート 勁文社 1987.2 のち文庫
- 不定期エスパー 長篇青春冒険ロマン 1-8 徳間ノベルス 1988-1990 のち文庫
- 強いられた変身 1988.1 (角川文庫)
- 素顔の時間 1988.2 (角川文庫)
- 引き潮のとき 第1-5巻 早川書房 1988-1995
- 里沙の日記 1988.8 (集英社文庫コバルト)
- それぞれの遭遇 1988.11 (ケイブンシャ文庫コスモティーンズ
- 異世界分岐点 自選日常恐怖作品集 新芸術社 1989.7
- 駅とその町 異色SF小説 実業之日本社 1989.10 「魔性の町」講談社文庫)
- 頑張って、太郎さん 勁文社 1989.12 のち文庫
- こんにちは、花子さん 勁文社 1989.12 のち文庫
1990年代
- ライトグレーの部屋 1990.6 (集英社文庫コバルト)
- 出張の帰途 祥伝社 1990.12 (ノン・ポシェット)
- 怪しい人びと 1992.3 (新潮文庫)
- ワンダー・ティー・ルーム 実業之日本社 1992.4
- 乾いた家族 1993.6 (ケイブンシャ文庫)
- ゆるやかな家族 1993.10 (ケイブンシャ文庫)
- 駅にいた蛸 集英社 1993.12
- 虹の裏側 出版芸術社 1994.10 (ふしぎ文学館)
- 発想力獲得食 三一書房 1995.9
- 精神集中剤 1998.3 (徳間文庫)
- カルタゴの運命 新人物往来社 1998.11
- 日がわり一話 第1-2集 出版芸術社 1998
2000年代
- 妻に捧げた1778話 2004.5 (新潮新書) 「僕と妻の1778話」集英社文庫
- いいかげんワールド 出版芸術社 2006.7
- 新・異世界分岐点 出版芸術社 2006.9
- 霧を行く 句集 深夜叢書社 2009.7
- 沈みゆく人 出版芸術社、2011
司政官シリーズ(1970年代〜80年代に書かれた同名作品集の再刊)
- 司政官(短編集)
- 長い暁(短編集)
- 消滅の光輪
- 引き潮のとき
- 『無任所要員』シリーズ
- 工事中止命令
- 虹は消えた
- 最後の手段
- 契約締結命令
エッセイ
- ぎやまんと機械(1977年)PHP研究所 のち角川文庫
- 照りかげりの風景 傑作エッセイ 広済堂出版 1981.12
- 大阪の街角 眉村卓Sembaエッセイ 三一書房 1995.11
句集
- 霧を行く 深夜叢書社 2009.7
翻訳
- ストックホルムのひまなし探偵(私立探偵スベントン)オーケ=ホルムベリイ 講談社、1973
- 北極怪盗とさばくの怪職人(私立探偵スベントン)オーケ=ホルムベリイ 講談社、1973
- デパート怪人はにおいなし(私立探偵スベントン)オーケ=ホルムベリイ 講談社、1973
- おばけ屋敷と四つの怪事件(私立探偵スベントン)オーケ=ホルムベリイ 講談社、1973
- ねことり怪人と地下室ギャング(私立探偵スベントン)オーケ=ホルムベリイ 講談社、1973
テレビドラマ化された作品
- まぼろしのペンフレンド(1974年『まぼろしのペンフレンド』、2001年『幻のペンフレンド2001』[8])
なぞの転校生(1975年、2014年)
ねらわれた学園(1977年『未来からの挑戦』、1982年、1987年、1997年)- 地獄の才能(1977年『未来からの挑戦』)
- 名残の雪(1977年『幕末未来人』、原案協力:1994年『幕末高校生』)
映画化された作品
ねらわれた学園(1981年 監督:大林宣彦、1997年監督:清水厚)
なぞの転校生(1998年 監督:小中和哉)
僕と妻の1778の物語(2011年 監督:星護)- 名残の雪(2014年『幕末高校生』 監督:李闘士男)
アニメ映画化された作品
時空の旅人(1986年、監督:真崎守)
迷宮物語(1987年、監督:りんたろう・川尻善昭・大友克洋)
ねらわれた学園(2012年、監督:中村亮介)
脚注
^ 星雲賞リスト
^ 眉村, 卓 (2011年1月18日). 妻のこと僕のこと-SF作家眉村卓氏に聞く 下心の古里. インタビュアー:大石哲也. 山陽新聞.. "日生の記憶作品土台に"
- ^ abc石川喬司 『SFの時代』 双葉社(双葉文庫)、1996年、pp.96-101.。ISBN 4-575-65833-2。
^ 宮田昇『戦後「翻訳」風雲録』本の雑誌社
^ 大阪芸術大学
^ 『日本SF短篇50(1)』早川書房
^ 関悦史 「閑中俳句日記21 眉村卓句集『霧を行く』」 『―俳句空間―豈weekly』掲載、2010年1月24日(2012年2月16日閲覧)
^ ドラマ愛の詩 幻のペンフレンド2001 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
関連項目
少年ドラマシリーズ - 眉村原作のドラマ化作品、「まぼろしのペンフレンド」を含むドラマシリーズ
ドラマ愛の詩 - 眉村原作のドラマ化作品、「幻のペンフレンド2001」を含むドラマシリーズ- ジュブナイル
クマゴロー - 眉村卓の渾名、サラリーマンだった眉村がデビュー後もいつもネクタイをしていた事から
佐野洋(作品:『嫌いな名前』の登場人物は眉村卓をベースモデルとしている。ただし内容は創作である)
奥田継夫 - 旧制住吉中学校(現:大阪府立住吉高等学校)の同級生
外部リンク
- 京都SFフェスティバル2008 眉村卓インタビュー・レジュメ
- 『司政官 全短編』創元SF文庫版あとがき
- 『消滅の光輪』創元SF文庫版あとがき
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