プロ野球中継








プロ野球中継(プロやきゅうちゅうけい)とは、プロ野球の試合をテレビやラジオで中継放送する番組のことである。


本項では、日本の一般社団法人日本野球機構(NPB)によるプロ野球の試合中継について記述する。メジャーリーグベースボール(MLB)の中継についてはメジャーリーグベースボール#テレビ放映権を参照。




目次






  • 1 日本のプロ野球中継の歴史


    • 1.1 黎明期


    • 1.2 1970 - 1990年代


    • 1.3 2000年代 -




  • 2 エピソード


  • 3 インターネット中継


  • 4 脚注


  • 5 関連項目





日本のプロ野球中継の歴史



黎明期


1936年7月に開かれた「日本職業野球連盟結成記念大会」(東京・早稲田大学戸塚球場〔後の安部球場〕)が、東京中央放送局(JOAK。現在のNHK)により放送。大会期間中の全試合を生中継し、特に初日と決勝戦には「神宮球場に烏が2羽、3羽」の名調子でならした松内則三と和田信賢が実況を担当した。これは二人のアナウンサーが掛け合いで同時にしゃべるという試みであった。場内に集音マイクを設置してバットの打撃音や観客の声が流れるようにしたが、野球中継で集音マイクを設置した最初の例であるという[1]


1951年、実験放送であるが、後楽園球場でのパシフィック・リーグ大映対近鉄、毎日対東急の2試合で日本初のテレビ中継が行われた[2]


1952年7月15日、前年に開局した神戸放送(現:ラジオ関西)により民放局初のナイター中継が開始[3]


1953年8月29日、日本テレビにより民放TV局初のナイター中継が行なわれた。後楽園球場で行なわれた巨人対阪神戦で、同局の開局翌日であった。同局では1971年に「ワイプナイター」という手法も取った。中継時間終了後も後続番組で画面一部をワイプ処理して中継映像を映すものであった(「怪奇十三夜」内)[4]。しかし、同年に日本映画監督協会から中止の要請が入り、やめることになった[5]。日本テレビが開局した1953年には、民放初の「日本シリーズ」(巨人対南海・後楽園球場)中継も行った[6]



1970 - 1990年代


読売ジャイアンツのV9により人気が全国的となり、巨人戦の中継はキー局が争奪する人気コンテンツとなった。また、1980年代以降は西武ライオンズが日本一を達成して黄金時代が到来、パ・リーグの試合も巨人戦ほどではないものの、中継する機会が次第に増加してゆく。


中継ではハード面での新機軸導入が多く、テレビ朝日解説者時代の野村克也は「ノムラスコープ」という配球予測の手法を導入した。中継画面にはストライクゾーンを9分割したものが表示された[7]。また、巨人戦のナイター中継では、21時前の中継終了時点で試合が続いていた場合は最大で30〜60分の中継延長オプションを設け対応していた(21時以降の番組は順次繰り下げ)[8]


日本シリーズがデーゲーム開催だった頃は、テレビ・ラジオ中継では、民放とNHKとの事実上の同時放送が行われていた事があった[9][10]



2000年代 -


2003年頃から、裏番組や球界再編騒動の影響を受けて視聴率が伸び悩み、全国放送のレギュラー番組としては打ち切りレベルにまで低下してしまう。テコ入れのために野球とは無関係のゲスト[11]を呼び、却って視聴者から不満の声が上がることも多くなった。中継の視聴率低迷は全体の番組編成にも悪影響を及ぼすようになったため[12]、テレビの野球中継は地上波から視聴率に影響されにくい衛星放送へ徐々に移行してゆき、地上波全国放送では開幕戦や週末・祝日デーゲーム、日本シリーズなど少数となり、レギュラーシーズンでは延長放送も行われなくなった。


視聴率低迷の原因として、団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニア世代の視聴者が少年時代にサッカーブームを経験したり、バラエティ番組などの裏番組に人気を奪われプロ野球の視聴習慣が醸成されなかったことにあると日本テレビの岡田謙吾プロデューサーは述べている[13]。フジテレビの亀山千広社長は2015年10月23日の定例会見で「系列ネットワーク局にとって宝のコンテンツ」と理解を示す一方で「フジのことだけを考えれば野球中継は苦しい」と述べた[14]


2004年5月2日の試合(対広島戦)が、視聴率20%を超えた「巨人の公式戦中継」最後の試合となっている[4]。2015年8月25日のヤクルト対巨人戦(フジテレビ系列で放送)では3.7%の低視聴率を記録し[15]、2010年代以降は日本シリーズやオールスター戦でも視聴率が低迷し[16][17][18]、一桁をとることも珍しくなくなった。2014年の日米野球では、全て一桁を記録している[19]


一方、関東以外に本拠地を持つ球団では地域密着の一環として、地元局による野球中継は増加することになり[20]関東地区でも独立UHF局での放送[21]が増え、キー局である日本テレビでも週末の巨人主催試合を地上波関東ローカルで放送している。


また、ラジオでは聴取者に中高年が多いことや、編成の柔軟性がテレビより高い[22]ことから現在でもプロ野球中継は放送されることが多いが、聴取率の低迷に歯止めがかからず、TBSラジオ(地方局への裏送りのみ継続)やラジオ大阪のようにプロ野球中継を撤退する動きも出ている[23][24][25][26]



エピソード


2010年の日本シリーズはセ・リーグ覇者の中日ドラゴンズとパ・リーグはクライマックスシリーズを制覇したリーグ3位の千葉ロッテマリーンズの対戦となった。しかし、今回は第1・2戦と第5戦が地上波での全国中継がなくなるという(民放全国ネット確立後)史上初の出来事となってしまった[27][28]。なお、11月6日のこのシリーズ第6戦はフジテレビ系で放送されたが、延長15回まで縺れたため3時間10分に及ぶ大幅な延長により21:00 - 23:10の放送予定だった土曜プレミアム(映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』)が日付を跨いで、日曜0:10 - 2:20まで『土曜プレミアム』として放送された。また、これにより深夜から朝方にかけて放送予定だった一部の番組が休止となった[29]。ちなみに、プロ野球の中継は、サンテレビが1992年9月11日に阪神甲子園球場から中継した阪神対ヤクルト戦が史上最長である。



インターネット中継


2000年代頃からはインターネットを活用した実況中継を行う事例が多くなりつつある。




  • ニコニコ生放送は、2012年のシーズンから東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバンクホークス、横浜DeNAベイスターズの主催ゲーム全試合の配信を開始した[30]。2014年のシーズンからは、新たにオリックス・バファローズが[31]、2016年シーズンからは阪神タイガース二軍が[32] 加わっている。

  • 2015年のシーズンからは横浜DeNAベイスターズの主催ゲーム全試合をDeNA直営のライブ配信サイト・ライブ配信アプリ『SHOWROOM(ショウルーム)』にて独占配信に踏み切った。

  • 2016年より、ソフトバンクがスポナビライブの提供を開始し、読売ジャイアンツと広島東洋カープ主催試合を除くシーズン全試合を配信(但し阪神の主催試合は5分ほど遅らせて配信している)。

  • 2016年より、huluにおいて、読売ジャイアンツ主催試合の生中継を実施している。

  • 2016年に開局したAbemaTVは独自の実況・解説がある野球中継を行っている。

  • 2017年よりパフォーム・グループによるDAZNが広島東洋カープ・横浜DeNAベイスターズ主催試合の生中継を実施している。2018年からはスポナビライブのサービス終了に伴い、それを継承する形で読売ジャイアンツ以外の11球団の主催試合(中日ドラゴンズ主催試合は一部を除く)の生中継を行う。



脚注


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  1. ^ 鈴木龍二『プロ野球と共に五十年(上)』(恒文社、1984年)P35 - 37。なお、本書にはこの結成記念大会の中継が「プロ野球が、初めてNHKのラジオで放送された」と記されているが、上記の通り名古屋放送局の中継が先行しているため、正確な記述ではない。


  2. ^ プロ野球中継における地域性


  3. ^ ラジオ関西

  4. ^ abスポーツ報知 2014年9月25日24面 「巨人軍80周年 あの時」第15回


  5. ^ 日本映画監督協会 Archived 2010年7月26日, at the Wayback Machine.


  6. ^ 『大衆とともに25年沿革史』(日テレ社史)に記載の昭和28年10月12日から18日のタイムテーブルより参照。


  7. ^ ノムラスコープに見るビッグデータの意味と活用の条件 - 日経BP


  8. ^ 1990年代のフジテレビは、最大30分の延長オプションでは試合終了まで中継できないことがあったことも踏まえて、中継開始を従来の19時から19時30分に繰り下げた上で、延長オプションを最大60分とした。


  9. ^ 1985年の日本シリーズでは、サンテレビも加えて民放2局が同時放送を行ったこともあった。


  10. ^ 1987年10月29日の東奥日報テレビ欄とラジオ欄から。但しラジオ中継に関しては、現在でも同時放送が行われている。


  11. ^ 例として、番組宣伝を兼ねて放送日の週に始まるテレビドラマの主演俳優、あるいは当該局で中継する他スポーツのキャスターがあげられる。


  12. ^ 具体的には、中継に伴うレギュラー番組の休止、中継延長に伴う後番組の放送開始遅延がある。


  13. ^ “ファン高齢化打開へ? 桑田&立浪コンビ、実現のワケ”. 夕刊フジ (ZAKZAK). (2010年5月6日). オリジナルの2010年5月9日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100509100212/http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20100506/bbl1005061615005-n2.htm 2011年2月15日閲覧。 


  14. ^ [1]


  15. ^ 視聴率3%…巨人戦、テレビ局は「もう中継必要なし」 日テレ、天王山すら中継なしの異常事態


  16. ^ [2]


  17. ^ [3]


  18. ^ [4]


  19. ^ [5]


  20. ^ ナイター中継の場合、休止したレギュラー番組は、土曜・日曜の午後に振り替える


  21. ^ 県域放送局と球団本拠地を持つ埼玉県・神奈川県・千葉県が該当。また、東京都を管轄とする独立局の東京MXテレビでは、福岡ソフトバンクホークス主催試合の中継を実施している。


  22. ^ 中継終了後の番組は生放送のトーク番組が多く、中継が延長したときでも裏送りが可能なことや、予定されていた中継が中止になっても、予備カードとして設定していた他球場の中継に切り替えることができる。


  23. ^ TBSラジオ プロ野球中継から撤退「多様なニーズに応える」と社長 - 『デイリースポーツオンライン』2017年11月29日付


  24. ^ TBSラジオ、プロ野球中継撤退を発表「リスナーの皆様、長年ありがとうございました」 - 『スポーツ報知』電子版 2017年11月29日15時24分付


  25. ^ “TBSラジオ 野球中継完全撤退、他局重複が理由 65年で幕”. Sponichi Annex. (2017年11月30日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/11/30/kiji/20171129s00041000358000c.html?feature=related 2017年12月10日閲覧。 


  26. ^ “TBSラジオ、プロ野球中継から撤退 来春から新レギュラー番組スタート”. ORICON NEWS. (2017年11月29日). https://www.oricon.co.jp/news/2101478/full/ 2017年12月11日閲覧。 


  27. ^ “日本シリーズ:第1戦と第2戦 地上波での全国中継はなし”. 毎日新聞. (2010年10月24日). オリジナルの2010年10月25日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101025031823/http://mainichi.jp/enta/sports/news/20101024k0000m050077000c.html 2010年10月24日閲覧。 


  28. ^ “史上初!日本シリーズ地上波全国中継なし”. 日刊スポーツ. (2010年10月24日). http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20101024-693713.html 2011年2月15日閲覧。 


  29. ^ “日本S第6戦延長でフジ CMなくなった!午後11時からノンストップ放送”. スポーツ報知. (2010年11月7日). オリジナルの2010年11月7日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101107094835/http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20101107-OHT1T00069.htm 2011年2月15日閲覧。 


  30. ^ プロ野球 楽天/ソフトバンク/DeNA 生中継 - ニコニコインフォ 2012年3月27日


  31. ^ Bs主催公式戦全72試合を「ニコニコ生放送」で完全無料生中継! - オリックス・バファローズ オフィシャルサイト 2014年2月20日


  32. ^ プロ野球 阪神タイガース今シーズン主催ファーム(2軍)戦 ニコニコ生放送で50試合生中継 - ドワンゴ 2016年3月7日




関連項目



  • 日本プロ野球中継番組一覧

  • 放映権 (日本プロ野球)

  • プロ野球トップ&リレー中継

  • 野球中継

  • 雨傘番組

  • 野球番組の歴代視聴率一覧

  • 読売ジャイアンツの主催試合の中継




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